4. 【意外な盲点】老齢年金にも《手取りと額面》があった。天引きされるお金の正体とは
公的年金は賃金や物価を考慮して年度ごとに見直しがおこなわれます。2025年度(令和7年度)の年金額は、前年度より1.9%引き上げられました。
3年連続のプラス改定にはなりましたが、「マクロ経済スライド(※)」によって物価上昇率を下回る改定率となっており、実質的には年金額は目減りしています。物価上昇に年金額が追い付けていないのです。
※マクロ調整スライドとは:「公的年金被保険者(年金保険料を払う現役世代の数)の変動」と「平均余命の伸び」に基づいて設定される「スライド調整率」を用いて、その分を賃金と物価の変動がプラスとなる場合に改定率から控除するしくみ
またシニアの多くは、下記の税や社会保険料を老齢年金からの天引きで納めています。
- 介護保険料
- 公的医療保険(国民健康保険・後期高齢者医療制度)の保険料
- 個人住民税および森林環境税
- 所得税および復興特別所得税
年金見込み額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認できますが、年金は「額面通りにはもらえない」点は意外な盲点かもしれません。
5. 厚生年金・国民年金「次回6月支給分(4・5月分)から増額」
先述の通り、2025年度の年金は前年より1.9%の増額改定となりました。この増額率が適用されるのは「6月13日 金曜日」に支給される「4月・5月分」の年金からです。
また、6月の支給タイミングに合わせて先述の「年金振込通知書」が届きます。
将来の年金見込み額は、「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で確認ができます。つい「いくらもらえるか」に目が行きがちですが、年金から天引きされる税や社会保険料などの存在も意識しながら、老後に向けたマネープランを立てていけたら良いですね。
参考資料
- 金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」
- 日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「国民年金保険料」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
- 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」
- 日本年金機構 年金用語集「さ行 受給資格期間」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「年金の繰上げ受給」
- 日本年金機構「特別支給の老齢厚生年金」
- 厚生労働省「令和7年度からの後期高齢者医療の保険料について」
- 厚生労働省老健局「給付と負担について」
- 日本年金機構「年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税および森林環境税を特別徴収されるのはどのような人ですか。」
- 日本年金機構「年金振込通知書」
吉沢 良子