5. 公的年金だけでは不安…老後に向けて「準備」を
日本の公的年金制度は、多くの人にとって老後の生活を支える大切な柱といえるでしょう。
しかし、長い老後生活を1つの柱で支えきれる世帯はどのくらいあるのか。本記事でご紹介したデータを見る限りでは、私的年金や取り崩し可能な資産などで複数の柱で補強しておくのが安全と言わざるをえません。
現役世代の人たちは、次のようなステップで老後に向けた資産形成を進めていきましょう。
5.1 ①自身の年金見込額の把握
「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で、将来自分が受け取れる年金額を把握しましょう。
5.2 ②老後資金の目標額の設定
①で確認した年金見込額と、理想とする老後生活を送るうえで必要な生活費を照らし合わせてみましょう。
不足するであろう金額が、これから準備したい目標額となります。
5.3 ③NISAやiDeCoなど、税制優遇制度を活用した資産形成
効率良く老後資金を準備するには、NISAやiDeCoといった税制優遇制度を活用すると良いでしょう。
NISA(少額投資非課税制度)は、投資で得た利益(運用益や配当金)が非課税になる制度です。
投資信託や株式などで運用するため元本割れのリスクはありますが、長い時間をかけて安定的な運用を心がけることで、資産を増やせる期待があります。
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、掛け金が全額所得控除の対象となるため、所得税・住民税が安くなります。
加えて、運用益が非課税に、将来、資産を受け取る際にも税制優遇がある点も魅力です。
ただし、原則60歳まで引き出せない点には留意が必要です。また手数料もかかりますので、十分に検討してからスタートすることをおすすめします。
老後資金をつくるには多くの時間が必要です。
早めに計画を立て、無理なくコツコツと資産を積み上げていけると良いですね。
参考資料
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 国土交通省「高齢者の住まいに関する現状と施策の動向」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- J-FREC 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](2024年)」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
- 令和6年版 高齢社会白書「第2節 高齢期の暮らしの動向」
和田 直子