2. 老後に安心な住まいの選択肢とは?《賃貸・持家・高齢者住宅》

前章でも説明したように、老後の生活費において、住居費は人によって大きく差が出る支出です。

特に一人暮らしの高齢者にとって、「持ち家か、賃貸か」は老後の安心感に直結する大きなテーマとなります。

国土交通省「高齢者の住まいに関する現状と施策の動向」によると、2022年時点における高齢者の住まいは賃貸住宅1906万戸に対し持ち家は3280万戸と多くの高齢者が持ち家に住み続けている現状がわかります。

それぞれのメリットやデメリットについて考えていきましょう。

2.1 賃貸住宅:柔軟性はあるが、家賃上昇や高齢者リスクも

賃貸住宅のメリットは、ライフスタイルに合わせて住み替えやすい点です。

しかし、物価上昇に伴う家賃の値上げや、高齢者を理由に入居を断られる「賃貸難民」リスクも現実に存在します。入居を継続するには、保証人や家賃保証会社の利用が求められることもあります。

2.2 持ち家:家賃は不要でも、維持費がかかる

持ち家の場合、毎月の家賃はかかりませんが、固定資産税、修繕費、火災保険などの維持コストは無視できません。

築年数が経つほど修繕の頻度や金額も増える傾向があるため、将来の出費を見越した備えが必要です。

2.3 公的・民間の高齢者向け住宅という選択肢も

所得や健康状態に応じて、公営住宅やサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)なども検討対象になります。

地域によっては自治体が高齢者向けの住まいを提供しているケースもあり、家賃が抑えられていたり、バリアフリー対応が施されているなど、安心できる環境が整えられています。

住まいの選択は、老後の安心感を左右する大きな要素です。自分の年金額や貯蓄状況に応じて、早めに選択肢を調べ、備えておくとよいでしょう。