日本は少子高齢化が進展しており、医療費負担の上昇が続いています。社会保険制度を維持するために、加入者の負担増は避けられません。
実際に、後期高齢者医療保険料や窓口負担割合が上昇しています。老後生活における経済的不安を軽減するためにも、各世帯で負担増に対抗するための工夫をしていきましょう。
今回は、2025年度の後期高齢者医療保険料や、年金受給世帯が生活を守るための方法などを解説します。
1. 2025年は後期高齢者医療保険料が上昇する
後期高齢者医療保険とは、原則として75歳以上の方が加入する健康保険制度です(65歳以上74歳以下の方で、一定の障がいがある方を含む)。
高齢化の進展や医療費の増加などの影響もあり、ここ数年は後期高齢者医療保険料の上昇が続いています。
2025年度に関しても、2024年度から1.6%の増加となる予定です。
なお、後期高齢者医療保険料は都道府県ごとに異なります。厚生労働省の資料を基に、年金収入195万円の方が負担する2025年度の保険料をまとめたので、参考にしてみてください。
- 全国:5673円
- 北海道:6325円
- 青森県:5415円
- 岩手県:4808円
- 宮城県:5216円
- 秋田県:5042円
- 山形県:5283円
- 福島県:5056円
- 茨城県:5358円
- 栃木県:4991円
- 群馬県:5567円
- 埼玉県:5067円
- 千葉県:5008円
- 東京都:5355円
- 神奈川県:5440円
- 新潟県:4850円
- 富山県:5033円
- 石川県:5573円
- 福井県:5458円
- 山梨県:6003円
- 長野県:5156円
- 岐阜県:5400円
- 静岡県:5275円
- 愛知県:6117円
- 三重県:5475円
- 滋賀県:5371円
- 京都府:6180円
- 大阪府:6495円
- 兵庫県:6134円
- 奈良県:5833円
- 和歌山県:6125円
- 鳥取県:5892円
- 島根県:5618円
- 岡山県:5758円
- 広島県:5438円
- 山口県:6408円
- 徳島県:6033円
- 香川県:5892円
- 愛媛県:5719円
- 高知県:6100円
- 福岡県:6641円
- 佐賀県:6250円
- 長崎県:5792円
- 熊本県:6259円
- 大分県:6509円
- 宮崎県:5675円
- 鹿児島県:6592円
- 沖縄県:6410円
社会保険料の負担が増えるということは、手取り収入が減少してしまうことを意味します。高齢者世帯の方は、これまで以上に家計管理に意識を向ける必要があるでしょう。
2. 保険料だけでなく窓口負担割合も増加
後期高齢者医療制度の負担増は、保険料だけではありません。窓口負担割合も、所得に応じて原則よりも増える可能性があります。
75歳以上の方の窓口負担割合は原則として1割ですが、現役並み所得者は3割、一般所得者等のうち一定以上の所得がある人は2割となっています。
厚生労働省の推計によれば、窓口負担割合が2割となるのは、後期高齢者医療制度の被保険者の約20%(約370万人)です。
3. 年金受給世帯が生活を守るための方法
後期高齢者医療保険料だけでなく、昨今はさまざまなモノやサービスの値段が上昇しています。年金額は物価上昇率や賃金上昇率に合わせて改定されるとはいえ、普段の生活の中で節約を意識する重要性が高まっています。
年金受給世帯が、生活を守るために意識すべきことを見ていきましょう。
3.1 健康維持に意識を向ける
心身の健康を維持できれば、医療費や介護費を抑えられます。医療費や介護費は「いつ、いくら発生するか」がわからない難しさがありますが、日常的に健康維持に意識を向けることで、費用負担を抑えられるでしょう。
自治体が行っている健康診断の助成を利用したりするなど、意識的に予防医療に取り組むとよいでしょう。また、適度な運動習慣を維持したり、バランスのよい食事と十分な睡眠を取ったりことも効果的です。
あわせて、地域コミュニティとの繋がりを維持することで、精神的な満足や安心を得られます。コミュニティへの参加は認知機能の維持にも役立つため、積極的に参加するとよいでしょう。
3.2 家計管理をきちんと行う
公的年金の頼れるところは、2カ月に一度安定した収入を振り込んでくれる点です。毎年年金額は改定されますが、安定した収入である点には変わりないため、収入の範囲内で生活することを意識すれば家計が破綻することはありません。
そのため、日常的に家計管理をきちんと行いましょう。家計簿アプリを活用すれば支出を細かく記録でき、現状を正確に把握できます。
もし支出の中に無駄と思われる項目があれば、積極的に削りたいところです。惰性で払っているサブスクリプションサービスや固定電話などを解約すれば、翌月以降も節約効果が持続します。
3.3 資産運用をする
一般的に、高齢になるほどリスクを取った資産運用は控えるべきとされています。
しかし、昨今は3%以上の物価上昇が起こっており、銀行の預金金利だけでは物価上昇に対応できません。そこで、購買力を維持するための資産運用を行うことも、生活を守ることにつながります。
例えば、60歳で1500万円を年間利回り2%で運用し、70歳から年間80万円を取り崩す場合、資産運用を行うことにより資産寿命が約12年伸びます。
普通預金や定期預金に、資産運用へ回せる余剰資金がある場合、ある程度のリスクを取って運用することも検討しましょう。
4. まとめにかえて
高齢化の進展や医療費負担の増加に伴って、後期高齢者医療保険料が増額となります。今後も人口動態が大きく変わらないことを考えると、ますます後期高齢者医療保険料が増えることを想定しなければなりません。
保険料が増えると家計の手取り額が減るため、各家庭で対策をしなければなりません。健康維持に意識を向けて医療費や介護費を削減したり、無駄な支出を抑えたりすることが代表的な手段です。
あわせて、余剰資金を運用し、資産寿命を延ばすことも検討しましょう。「運用しながら取り崩す」という意識を持つことにより、老後生活における経済的な安心につながります。
参考資料
- 厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和6・7年度の保険料率について」
- 政府広報オンライン「後期高齢者医療制度 医療費の窓口負担割合はどれくらい?」
- 金融経済教育推進機構「豊かな老後のために知っておきたいお金の話」
柴田 充輝