年金は老後の生活を支える重要な柱ですが、「実際にいくら受け取れるのか」「一般的にどの程度の金額なのか」という点は多くの人にとって関心事です。

内閣府による最新の「高齢者の経済生活に関する調査」結果によると、60歳以上のおよそ64%が「経済的な面で不安がある」と答えており、その理由として収入や貯蓄の少なさや、医療介護費用が大きくなることを懸念しています。

本記事では、最新の統計データをもとに国民年金と厚生年金の受給平均額を見るとともに、年金額が月額20万円以上となる人の割合について確認をしていきます。ご自身の老後の生活設計を考える上での参考としてください。

1. 【最新版】国民年金と厚生年金の平均受給月額

まず初めに、最新データから国民年金(老齢基礎年金)と厚生年金(老齢厚生年金)の平均年金受給月額を確認していきます。

国民年金と厚生年金の平均年金受給月額2/4

国民年金と厚生年金の平均年金受給月額

出所:日本年金機構「日本年金機構の主要統計(176)(令和6年11月)」

日本年金機構による統計によると、最新の2024年11月時点での結果では、国民年金受給者の平均受給月額が5万8296円、厚生年金受給者の平均受給月額が15万1125円です。

老齢年金における国民年金受給者と厚生年金の受給者との間には、月額で10万円弱の差があることがわかります。

ここで、国民年金受給額と厚生年金受給額の算定方法を簡単に説明します。

1.1 国民年金(老齢基礎年金)受給額

国民年金の受給額は、受給者が「国民年金保険料」を納めた月数によって決定します。

国民年金保険は日本国内に居住する20歳から60歳が原則として加入する義務があり、全員が一律の保険料を支払います。

会社に勤めるなどで社会保険に加入している期間や、社会保険に加入している配偶者の扶養である期間には、国民年金保険料の支払いをすることなく「納付済み期間」として月数がカウントされます。

保険料が加入者全員一律であるため、老後に支給される国民年金(老齢基礎年金)も、加入月数が同じであれば同額となります。

日本に居住をしていない未加入期間や保険料の免除期間がある場合には、その月数分の年金額が受給額から控除されます。

2025年度において、40年間満額で支払いをしている場合であれば、老齢基礎年金の月額は6万9308円(年額83万1700円)です。

1.2 厚生年金(老齢厚生年金)受給額

厚生年金の受給額は、受給者が社会保険に加入していた「加入期間」と「報酬月額相当額」によって計算されます。

個人事業主など社会保険に加入をしない働き方をしていた場合には、厚生年金を受給することはできません。加入期間と報酬月額相当額によって、以下のように受給額の差が生じます。

【加入期間】
厚生年金受給額は加入期間に応じて高額になるため、社会保険の加入期間が長いほど受け取ることができる厚生年金の金額も大きくなります。

【報酬月額相当額】
月額の報酬額と、年間の賞与額によって決定するのが「報酬月額相当額」です。厚生年金は報酬月額相当額と比例して受給額も上がるため、社会保険加入時の給与や賞与が高いほど、将来受け取ることができる年金額が高くなります。

2.  厚生年金受給額の実態

次に、厚生年金の受給者の内で、年間240万円(月額20万円)以上受給をしている人の割合を見ていきます。

厚生労働省による統計である「厚生年金保険・国民年金事業統計年報」の最新データによると、厚生年金保険の年金月額階級ごとの受給者数は男女合計で以下のようになっています。

厚生年金保険の年金月額階級ごとの受給者数4/4

厚生年金保険の年金月額階級ごとの受給者数

出所:厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業統計」

  • 5万円未満:1.9%
  • 5万円以上10万円未満:19.3%
  • 10万円以上15万円未満:31.2%
  • 15万円以上20万円未満:31.3%
  • 20万円以上25万円未満:14.6%
  • 25万円以上30万円未満:1.6%
  • 30万円以上:0.1%

2.1 20万円以上の年金を受給している割合

上記の統計によると、月額20万円以上の年金を受給している、つまり年額240万円以上である受給者の割合は約16.3%です。

年金受給者全体のうち、月額20万円以上を受給しているのは5人に1人にも満たないことがわかります。

さらに、年金受給額は額面通りの金額がそのまま受け取れるわけではなく「受給額」から所得税や健康保険料などが控除されるため、たとえ月額20万円だとしても、実際に振り込まれる金額はさらに少なくなります。

2.2 老後の生活設計

現役世代であれば、手取り額が20万円以下と言うと、かなり低所得であるという認識を持たれる方も多いかと思います。

しかし、年金収入における「20万円」という金額は高水準であり、一般的にそれを下回る人が多くいることがわかります。

そのため、老後に年金のみでそれまでと同様の生活水準を維持したいのであれば「老後までに必要な資金を準備する」または「日々の生活費を抑える」のいずれかが必要となります。

3. まとめにかえて

老後の生活では、現役世代のような収入を得ることは難しいため、老後の生活設計においてはその現実を踏まえた準備が欠かせません。

もしも生活水準を変えずに老後を過ごしたいのであれば、収支の赤字を埋めるための貯蓄が必要です。

資産形成を検討する場合には、長期的に行うことによりリスクを軽減することもできるため、できるだけ早い段階で開始をすることをオススメします。

年金制度を正しく理解し、それを踏まえた上で自分自身の老後設計を行うことが、豊かな老後生活への第一歩となるでしょう。

参考資料