「リタイア後はゆっくり旅行を楽しみたい」、「趣味をたくさん見つけて毎日を楽しみたい」など、理想の老後生活をイメージしたことはありますか。理想を現実にするために計画的に準備を進めている人はどのくらいいるのでしょうか。
近年は、老後を「ひとり」で迎える人が増えています。
国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集2024」によると、50歳時の未婚割合は男性が24.77%、女性は17.81%です。
以下のグラフを見ると、ひとり世帯が年々上昇傾向にあることがわかります。
本記事では増加傾向にある「ひとり世帯」にフォーカスし、老後のお金について考えていきたいと思います。
現代のシニアひとり世帯の暮らしぶりはいかほどか。「生活費」と「年金額」に関するデータを見ていきましょう。
1. 【シニアひとり世帯】1カ月の生活費はいくら?
まずは老後の生活費を確認しましょう。総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯の平均消費支出は月14万9286円でした。
消費支出のうち、約3割が食料でした。帝国データバンクの調査では、2025年4月は4225品目の食料品が値上げされると発表しました。原材料高や人件費、物流費の高騰などにより、2025年も食品の値上げが続く見込みです。
家計が圧迫される世帯も、今後増えてくることが予想されます。
1.1 月の収入
収入:13万4116円(うち社会保障給付12万1629円)
1.2 月の支出
消費支出:14万9286円
- うち食料:4万2085円
- うち住居:1万2693円
- うち光熱・水道:1万4490円
- うち家具・家具用品:6596円
- うち被服及び履物:3385円
- うち保健医療:8640円
- うち交通・通信:1万4935円
- うちその他:3万956円
非消費支出:1万2647円
支出合計16万1933円
月の収支:▲2万7817円
消費支出に非消費支出である1万2647円を加えた、16万1933円が65歳以上の毎月の平均支出です。
一方で収入は13万4116円だったので、毎月3万円程度の赤字が発生することがわかります。
また、住居費用が1万円程度になっていますが、これは持ち家が想定されており、1万円で住める賃貸はなかなか見つかりません。
賃貸に住むことを想定すれば、支出はさらに増えることも考えられます。
老後を迎えるにあたり、想定しておきたいのが「医療費」の負担です。
保健医療にかかる平均支出は8640円ですが、今後は医療費が増加する可能性があります。
厚生労働省の資料によれば、高額療養費による自己負担額の上限が各所得区分で引き上げられる見通しです。