厚生年金に長期間加入していた人が一定要件を満たすと、老齢厚生年金に加給年金が加算されます。

厚生年金受給者の中には「自分は対象になるのかな?」「いくら加算されるの?」などの疑問を感じる人もいるでしょう。

本記事では、加給年金の対象者や2025年度の最新支給額について解説します。

加給年金に関する注意点も紹介しますので、年金受給者や受給予定の人は確認しておきましょう。

1. 加給年金とは

加給年金とは1/3

女性の写真

kapinon.stuio/shutterstock.com

最初に、加給年金の対象者や支給要件について確認しておきましょう。配偶者に支給される振替加算についても紹介します。

1.1 加給年金の対象者

加給年金とは、厚生年金に長期間加入していた人が次の要件を満たす場合、65歳から老齢厚生年金に加算して支給される年金のことです。

  • 厚生年金(または共済年金)に20年以上加入している
  • 65歳で老齢厚生年金(または共済年金)を受給している
  • 一定の要件を満たす配偶者または子どもがいる

※厚生年金と共済年金の加入年数の合計が20年以上の人も対象です。

一定要件を満たす配偶者または子どもとは、生計を維持(扶養)し、かつ次の要件を満たす人です。

  • 配偶者:65歳未満で厚生年金加入(共済を含む)が20年未満
  • 子ども:18歳到達年度の末日まで(高校卒業の3月まで)、または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子ども

要件を満たす配偶者がいる場合、加給年金は本人が65歳なってから配偶者が65歳になるまで支給されます。

そのため、配偶者が年上の場合、加給年金は支給されません。

2. 加給年金と振替加算

加給年金は配偶者が65歳になると打ち切りとなりますが、配偶者には「振替加算」が支給されます。

振替加算は、専業主婦が多く女性の厚生年金加入が少なかった時代に設けられた制度で、1966年4月2日以降生まれの配偶者には適用されません。

加給年金と振替加算のイメージ2/3

加給年金と振替加算のイメージ

出所:日本年金機構「老齢年金ガイド令和7年度版」※イメージ図の「配偶者」は、加給年金の受給者のことです。


ここまで、加給年金の制度内容について解説してきました。次章では、2025年4月に改定された加給年金額と加給年金に関する注意点を紹介します。

3. 2025年4月以降の加給年金額

2025年4月以降の加給年金額は原則23万9300円ですが、要件を満たす配偶者がいるときは受給権者の生年月日に応じて「特別加算」があります。

これから加給年金の受給を始める人には、最大金額である41万5900円が支給されます。

配偶者加給年金額3/3

配偶者加給年金額

出所:日本年金機構「加給年金額と振替加算」をもとに筆者作成

また、1人目・2人目の子どもについては原則通り1人あたり23万9300円が支給されますが、3人目以降の子どもは7万9800円となります。

該当する配偶者と子どもが1人いる場合、加給年金は65万5200円です。

4. 加給年金に関する注意点

加給年金について、注意したい点や誤解の多い点を4つ紹介します。

4.1 繰下げ受給すると加給年金は受け取れない

老齢厚生年金を繰下げ受給すると、繰下げ待機中(65歳から繰下げ受給開始までの期間)は加給年金が受け取れません。

1年繰下げると1年分の加給年金(41万5900円)が受給できなくなるため、加給年金の受給期間の長い人ほど慎重に検討しましょう。

繰下げ受給を活用したい人は、老齢厚生年は65歳から受給して加給年金を受け取り、老齢基礎年金だけ繰下げ受給するという選択肢もあります。

4.2 給与が高い人は受け取れないケースがある

働きながら年金を受け取るとき、給与などが高いと老齢厚生年金の一部または全額が支給停止となる仕組み(在職老齢年金)があります。

老齢厚生年金の全額が支給停止になると、加給年金は受け取れません。

ただし、退職したり給与が下がったりして全額支給停止でなくなれば、加給年金が支給されます。

4.3 配偶者が20年以上厚生年金に加入していても受け取れるケースがある

配偶者加給年金について、配偶者の厚生年金(または共済年金)加入期間は20年未満と解説しましたが、20年以上の場合でも加給年金が受け取れるケースがあります。

具体的には、年金受給者が65歳になった時点で、配偶者の老齢厚生年金の受給権が発生していないときです。

支給されるのは、配偶者の老齢厚生年金の受給権が発生するまで、または配偶者が65歳になるまでです。

4.4 障害厚生年金1級、2級を受給する場合も支給される

配偶者に対する加給年金は、前述の要件を満たせば老齢厚生年金だけではなく障害厚生年金にも加算されます。

ただし、加算されるのは障害厚生年金1級、2級を受給する場合で、3級の場合は加算がありません。また、老齢厚生年金と異なり配偶者の特別加算はありません。

5. まとめにかえて

2025年4月からの加給年金額は、配偶者がいる場合は最大41万5900円、子どもは1人当たり23万9300円(3人目以降の子どもは7万9800円)です。

本記事を参考に受給の可否や支給額を確認するとともに、受給には請求が必要であることと繰下げ待機中は加給年金が支給されないことを理解しておきましょう。

参考資料

西岡 秀泰