2. 暮らしに関する引き上げ・増額
暮らしに関する引き上げ・増額は、主に値上げに関するものが多くなっています。主なものは以下のとおりです。
- 就学支援金の所得撤廃
- 電気代・ガス代の値上げ
- 食料品などの値上げ
それぞれ詳しく見ていきましょう。
2.1 就学支援金の所得撤廃
就学支援金とは、所得要件を満たす世帯に通う高校生に対して、授業料に充てるために支給されるお金です。2025年4月からは、支給のための所得要件が撤廃され、高校生のいるすべての世帯に対して11万8000円の就学支援金が支給されます。
これまでは、片働きの場合に910万円、共働きの場合に1030万円の所得制限が定められていました。しかし、2025年4月からはこれらが撤廃され、国公私立問わずすべての世帯に対して支援金が支給されることが決まっています。所得制限の撤廃により、公立高校に通う高校生の授業料が実質無償化されます。
よって、年収910万円超の世帯は、支援金額が0円から11万8000円に引き上げられるのです。来年度には就学支援金の上限額の所得制限が撤廃される予定となっています。
ただし、恩恵を受けられるのはあくまで高校生の子どもがいる世帯のみです。また、国が高校生の子どもの扶養控除縮小を検討していることもおさえておく必要があります。
2.2 電気代・ガス代の値上げ
電気代・ガス代は政府の補助が終了するため、4月から値上げされます。これまでは以下の金額が値引きされていましたが、3月をもって補助が終了し、4月からは通常の金額が請求される見込みです。
1・2月
- 電気
・低圧:2.5円/kWh
・高圧:1.3円/kWh - 都市ガス
・10.0円/㎥
3月
- 電気
・低圧:1.3円/kWh
・高圧:0.7円/kWh - 都市ガス
・5.0円/㎥
日本はエネルギーの原資を輸入に頼っているため、価格は石油や液化天然ガスの原産国の情勢に左右されてしまいます。国際情勢や中東情勢の影響を受け、4月からはエネルギー価格の高騰が、家計をさらに圧迫する可能性が高いでしょう。
2.3 食料品などの値上げ
食品メーカーでは、4月から一部商品を値上げすると公表しています。とくに酒類の値上げが多いようです。一例を紹介します。
- サントリー株式会社:ビール類やワイン、ノンアルコールドリンクなどを値上げ
- アサヒビール株式会社:ビール類や洋酒、ワインなどを値上げ
野菜や米に続きドリンク類の価格が上昇し、食費支出がさらに増える可能性が高いでしょう。4月は、物価の上昇を再び肌で感じる時期となりそうです。
3. 「支給増加」「負担増加」どちらの印象が強い?
4月から引き上げ・増額となるものをいくつか列挙してきました。年金や育児休業給付金など、年金受給世帯や子育て世帯は支給されるお金が増えるため、恩恵を受けられそうです。
一方、それ以外の人は、年金保険料の負担増加や電気代・食品の値上げなどで、4月からは負担増ばかりが目立ちそうです。とくに食品や酒類の値上げは、家計にも大きな影響をおよぼすと考えられます。家計改善につながるような国の施策が求められます。
参考資料
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省「生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和5年10月)」
- 厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」
- 厚生労働省「2025年4月から「出生後休業支援給付金 」を創設します」
- 日本年金機構「国民年金保険料の額は、どのようにして決まるのか?」
- 日本年金機構「口座振替でのお支払い」
- 文部科学省「所得基準に相当する目安年収(例)」
- 経済産業省資源エネルギー庁「電気・ガス料金支援」
- サントリー株式会社「ビール類・RTD・国産ワイン等の価格改定について」
- アサヒビール株式会社「ビール類・RTD・輸入洋酒・輸入ワイン・その他樽詰酒類・ノンアルコール飲料などの価格改定について」
石上 ユウキ