筆者は普段ファイナンシャルアドバイザーとして勤務していますが、「老後までに○〇万円貯めたい」といった相談を受けることがあります。
ただし、金額に根拠があるという人は意外に少なく、「ネットで2000万円不足すると見たから」など、見聞きした情報を自身の老後資金の目標額としている方が多いです。
実際、老後に不足する金額は世帯の生活費や働き方によって変わるものですが、今のシニアがいくらくらい貯蓄をしているのか気になる人も多いのではないでしょうか。
今回は、シニアの貯蓄実態について詳しく解説していきます。
1. 【60歳代・二人以上世帯】貯蓄額「3000万円以上」保有している世帯は何%?
まずは、J-FREC 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」を参考に、60歳代・二人以上世帯の貯蓄(金融資産を保有していない世帯を含む)を確認していきます。
※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
1.1 60歳代の二人以上世帯:金融資産保有額はどのくらい?
- 金融資産非保有:20.5%
- 100万円未満:6.5%
- 100~200万円未満: 5.3%
- 200~300万円未満: 3.7%
- 300~400万円未満:3.1%
- 400~500万円未満:3.1%
- 500~700万円未満:6.3%
- 700~1000万円未満:5.3%
- 1000~1500万円未満:8.9%
- 1500~2000万円未満:5.8%
- 2000~3000万円未満:8.0%
- 3000万円以上:20.0%
- 無回答:3.6%
60歳代の貯蓄額を見てみると、平均は「2033万円」ですが、実態に即した中央値は「650万円」となっています。
また、60歳代の二人以上世帯において、貯蓄が3000万円以上ある世帯の割合は20.0%となっています。
一方で、貯蓄を全く持たない「金融資産非保有」の世帯も20.5%を占めており、この割合はほぼ同じです。
この年代には、すでに退職した人もいれば、引き続き働いている人もおり、退職金を受け取ったかどうかにも違いがあります。
次に、老後生活を本格的に迎えている70歳代の世帯では、どのような貯蓄状況になっているのか見ていきましょう。