毎年度改定となる公的年金。4月分から厚生年金と国民年金は1.9%増額となります。
ただし、2025年度の物価変動率は2.7%でした。
公的年金は物価変動率や名目手取り賃金変動率に応じて改定されますが、物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回る場合は、名目手取り賃金変動率(今年度は2.3%)を用いて改定されます。
さらに▲0.4%のマクロ経済スライドの調整が入り、増額は1.9%へ。つまり、実質的に目減りなのです。
一方で、この4月も多くの飲食料品が値上げとなっており、物価高はおさまりません。
現役世代が老後を迎えたときに物価高が起こる可能性もありますが、現状では公的年金でカバーするのは難しいでしょう。このような社会情勢による変化にも、自身で対応していくことになります。
一人暮らしの方はより老後対策の必要性が高まります。今回は現代シニアの平均的なお金事情を見ていきましょう。
1. 【ひとりの老後の生活費】「月の支出」はいくら?
まずは老後の生活費を確認しましょう。総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯の平均消費支出は月14万9286円でした。
1.1 月の収入
収入:13万4116円(うち社会保障給付12万1629円)
1.2 月の支出
- 消費支出:14万9286円
- うち食料:4万2085円
- うち住居:1万2693円
- うち光熱・水道:1万4490円
- うち家具・家具用品:6596円
- うち被服及び履物:3385円
- うち保健医療:8640円
- うち交通・通信:1万4935円
- うちその他:3万956円
- 非消費支出:1万2647円
支出合計16万1933円
月の収支:▲2万7817円
消費支出に非消費支出である1万2647円を加えた、16万1933円が65歳以上の毎月の平均支出です。
一方で収入は13万4116円だったので、毎月3万円程度の赤字が発生することがわかります。
また、住居費用が1万円程度になっていますが、これは持ち家が想定されており、1万円で住める賃貸はなかなか見つかりません。
賃貸に住むことを想定すれば、支出はさらに増えることも考えられます。
2. おひとりさまの「年金月額と貯蓄額」は平均いくら?
老後の生活を考えるうえで、収入の柱となりうる年金受給額の確認は欠かせません。
さらに、冒頭で平均的な支出を確認したところ、毎月赤字が出る可能性があることも判明しました。
そのため、老後においては貯蓄額も重要です。
年金受給額とあわせて貯蓄額もチェックしていきましょう。
2.1 2025年度の国民年金・厚生年金の受給額
令和7年度の年金額は国民年金も厚生年金も1.9%増額しました。
2.2 2025年度の国民年金と厚生年金の年金額例
- 国民年金(老齢基礎年金(満額)):6万9308円(+1308円)
- 厚生年金:23万2784円(夫婦2人分)(+4412円)
※昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は月額6万9108円(対前年度比+1300円)
※厚生年金は「男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)」で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準
さらに、厚生労働省はライフコースに応じた年金額の例を公開しています。
たとえば、厚生年金期間が中心の男性の年金受給額は、17万3457円です。
一方で、厚生年金期間が中心の女性の年金受給額は、13万2117円でした。
年金受給額は加入期間や厚生年金の場合は収入などにより異なるので、あらかじめ年金受給予定額を確認しておくのがおすすめです。
2.3 おひとりさまの貯蓄額
毎月赤字が出る可能性がある場合、貯蓄額が重要です。
単身世帯の人はどの程度貯蓄しているのでしょうか。
60歳代と70歳代を確認すると、平均で1600万円台の貯蓄があることがわかりますが、中央値は350万円、475万円と平均値とは大きく差があります。
これは、貯蓄が多い人と少ない人の差が大きいのでしょう。平均が1600万円台だからといって自分もそうなるとは限らないので注意が必要です。
3. 65歳以上の暮らしはどうなの?心配なら資産運用も検討しよう
おひとりさまの生活費や年金受給額がわかりましたが、実際65歳以上の人は自らの暮らしをどのように捉えているのでしょうか。
以下で詳しく見ていきましょう。
また、経済的な不安を感じたくない人のために、おすすめの資産運用も紹介します。
3.1 経済的な暮らしに心配ないと回答したのは68.5%
厚生労働省「令和6年版高齢社会白書」によると、現在の暮らしについて、65歳以上で経済的な心配はないと回答した人は68.5%いることがわかりました。
68.5%は多いように感じるかもしれませんが、見方を変えると約3割の人が家計にゆとりがなく、経済的に心配があるということです。
今、老後を穏やかに暮らしたいと思っていても、3割の人は金銭面で不安を抱える場合も考えられます。
3.2 検討したい資産運用
経済面で不安を感じたくないという人は、早くから預貯金だけでなく以下の資産運用を検討するのもいいでしょう。
- 投資信託
- 株式投資
投資にはリスクがありますが、一方で効率的に貯蓄を増やすことも可能です。NISAやiDeCoなど税制優遇措置を受けられる制度を活用するのも選択肢の一つでしょう。
株式投資についてはリスクが高いため、中級者および上級者向けです。まずは自身のリスク許容度を把握するなどしてから検討しましょう。
ただし、資産運用はあくまでも余剰資金で行うようにしましょう。
また、長く働き続けることで収入を得る期間を長くすることも可能です。
現代ではさまざまな働き方が増えていますから、情報収集をしてみてはいかがでしょうか。




