2026年8月10日の東京株式市場は3日ぶりに反発しました。日経平均株価は前営業日比1,363.51円(+2.08%)高の66,970.22円で取引を終えています。
7日の米国市場では、7月の雇用統計が市場予想を下回ったことをきっかけに利上げ観測が後退し、ハイテク株や半導体関連株を中心に買われる展開となりました。この流れを引き継ぎ、10日の国内市場でもAIや半導体関連株を中心に幅広い銘柄が物色されています。
一方で、金融セクターではメガバンク各社がそろって売られる展開となり、こうしたなかで今回取り上げるゆうちょ銀行(7182)も軟調な展開となり、前日比101円安(▲3.17%)の3,087円で取引を終えました。
同社は7日の大引け後(15時30分)に2027年3月期第1四半期の決算を発表しており、週明け10日の動向が注目されていました。実際には、好調な決算内容にもかかわらず、メガバンク全般が売られるなど、金融関連株安の流れのなかで同社株も売られました。
9月にも追加利上げの観測が出るなど金融政策への関心が高いものの、決算自体は市場の期待に応える内容だったこともあり、目先は「材料出尽くし」からの利益確定売りに押された、という見方ができそうです。
1. この記事を読むとわかる3つのポイント
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相場:東京市場は3日ぶり反発も、メガバンク安でゆうちょ銀行は▲3.17% -
決算:四半期純利益は69.3%増の1,775億円、通期進捗率26.9%と堅調 -
500株以上でカタログギフト、2027年度から長期保有優遇で5,000円相当に拡充
それでは、決算の中身を見ていきましょう。
記事の後半では、株式分割後の株主優待についても紹介します。
2. ゆうちょ銀行の2027年3月期第1四半期決算は69.3%の増益
7日に発表された決算は、堅調な内容でした。
- 経常収益:8,481億円(前年同期比+27.1%)
- 経常利益:2,535億円(前年同期比+64.7%、通期予想9,550億円に対する進捗率26.5%)
- 四半期純利益:1,775億円(前年同期比+69.3%、通期予想6,600億円に対する進捗率26.9%)
- 連結業務純益(銀行業界で本業のもうけとされる指標):1,874億円(前年同期比+1,652億円)※ただし、証券売却益など一部の運用損益は「臨時損益」に計上されるため、この数字だけで運用実績の全体像を測れるわけではありません
資金利益(貯金を国債や外国証券などで運用して得る利息収益)が前年同期比1,748億円増加したことが、増益の主因です。
3. ビジネスモデル:貸出ではなく「資金運用」で稼ぐ銀行
ゆうちょ銀行は、郵便局窓口や通帳アプリを通じて集めた「貯金」の大半を、企業への融資ではなく国債や外国証券などの有価証券で運用し、そこから得られる利息収入(資金利益)を本業の収益の中心に据える「資金運用型」のビジネスモデルを採っています。今回の増益も、国内金利の上昇に伴う国債利息の増加基調に加え、外債投資信託からの収益が伸びたことが直接効いています。
4. 強み:厚い自己資本と拡大する顧客基盤
強みとして挙げられるのが、①全国の郵便局ネットワークを生かした圧倒的な顧客基盤と、②自己資本の厚さです。通帳アプリの登録口座数は2026年6月末で1,749万口座に増加しており、顧客基盤の強化が続いています。自己資本の面では、2026年6月末の自己資本比率(国内基準)は15.15%、国際統一基準に基づくCET1比率(完全適用)は10.09%となっており、いずれも規制上の最低水準(国内基準4%以上)を大きく上回る水準を維持しています。
プライベートエクイティファンドや不動産ファンドなど「戦略投資領域」への投資も拡大しており、2026年度第1四半期は資金利益・臨時損益の合計で1,273億円(前年同期802億円)を計上するなど、収益源の多様化も進んでいます。
なお、2027年3月期の通期配当予想は1株93円00銭(前期実績は74円00銭)で、直近の予想からの修正はありません。
ゆうちょ銀行は国内金利上昇と外国証券投資からの収益増加を背景に、2026年度第1四半期は純利益69.3%増という好決算を記録しました。厚い自己資本と拡大する顧客基盤を土台に、通期計画に対する進捗率も26%台と順調なペースです。
5. バリュエーション評価:好決算でも売られた株価はどんな水準にあるのか
10日終値の3,087円をもとにした指標は、PER(会社予想・連結)16.66倍、PBR(実績・連結)1.19倍、配当利回り(会社予想)3.01%です。
年初来では、7月24日につけた上場来高値圏の3,465円からは1割超離れた水準まで調整していますが、1月5日の年初来安値2,238円からは4割近く上回っており、位置づけとしては中間よりやや高い水準にあります。
5.1 ゆうちょ銀行の12カ月チャート
決算内容は堅調であり、これが材料視されたというよりは、決算内容は堅調であり、これが材料視されたというよりは、金融株全般が売られる地合いのなかでの一時的な値動きと考えられ、決算内容の評価が変わったわけではなさそうです。
次のページでは、好決算にもかかわらず株価が売られた背景をバリュエーションの面から確認したうえで、多くの個人投資家から関心の高い株主優待「カタログギフト」の内容と、2027年度から新設される長期保有優遇制度について詳しく解説します。
