4. 通勤手当は「年収の壁」にも影響
通勤手当を報酬と見なすかどうかについては、年収の壁にも影響を与えます。
年収の壁にはいくつか種類がありますが、所得税のボーダーラインとなる「年収の壁」にはほぼ影響がありません。
また、勤め先の企業規模によって社会保険への加入義務が発生する「年収106万円の壁」においても、通勤手当は含まれないことになっています。
しかし、社会保険上の扶養に入れるかどうかのボーダーラインである「年収130万円の壁」を考えるとき、通勤手当も含まれるので注意が必要です。
5. まとめにかえて
通勤手当を報酬に含めるかどうかは、「税金」と「社会保険料」によって異なります。
社会保険料の計算では通勤手当も含めるため、遠方から通勤している人などは損に感じてしまうこともあるでしょう。
社会保険料が高くなる場合、将来の厚生年金が高くなるという一定のメリットはあるものの、なかなか納得感は持てないかもしれません。
国会でも「努力する」と議論があったことから、今後の動向にも注目しましょう。
参考資料
- 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」
- 厚生労働省「『年収の壁について知ろう』」
- 参議院インターネット審議中継「2025年3月28日予算委員会」
- 国税庁「No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当」
太田 彩子