2025年3月28日の予算委員会において、「通勤手当」が報酬と見なされる問題ついて議論がありました。
会社員の方などは、会社への通勤に伴う費用「通勤手当」をもらっている方も多いでしょう。
通勤手当は一定の条件下で非課税となりますが、社会保険料を算出するときに用いられる「報酬」には含まれるという現状があります。
石破総理の答弁とともに、現行の仕組みについて見ていきましょう。
1. 通勤手当は報酬になるの?予算委員会でも議論
2025年3月28日の予算委員会において、立憲民主党の吉川議員から通勤手当に関する質問がありました。
通勤手当を標準報酬月額に含めることになった時期や、社会保険料の算定対象になる報酬の内訳、通勤手当を報酬に含めるべきかなどについて、答弁が繰り広げられられました。
一方で、通勤手当は税金の課税対象にはなっていません。実費弁償の性格を有し、広く支給されているためです。
この点の矛盾について、石破総理は「私も定期を使って通勤していた時期がある」「感覚とすれば実費弁償なんだろう」「報酬といわれると…そうですかね」「感覚からすればぴったり来ないものがある」と述べました。
整理が必要とも述べられ、なんとかご納得いただけるものを見出す努力をするという姿勢を見せています。
2. 通勤手当は税金の計算には含めない
所得税や住民税を算出する際、「課税所得」が用いられます。
通勤手当などの交通費は一定限度額までは非課税とされており、課税所得に含まれません。
つまり、基本的には通勤手当をもらったからといって税金が高くなることはないのです。
非課税となる「一定限度額」は、勤務先へ通勤する手段によって異なります。
電車やバスなどの公共交通機関を利用して通勤している方の場合は、1ヶ月あたり15万円までが非課税となります。
また、マイカーなどで通勤している方もいるでしょう。この場合は片道の通勤距離によって非課税限度額が決められており、1ヶ月あたりの限度額は3万円1600円です。
遠方から通勤している場合は限度額を超えて課税される可能性もありますが、基本的には非課税になることが多いでしょう。
3. 通勤手当は社会保険料の計算に含める
通勤手当の扱い2/3
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一方、社会保険料の計算をする際には交通費を含みます。
労働の対償として経常的かつ実質的に受けるものは、すべて報酬に含まれるのです。
事業所から現金または現物で支給されるものを指すため、日本年金機構では下記の例を示しています。
- 基本給
- 能率給
- 奨励給
- 役付手当
- 職階手当
- 特別勤務手当
- 勤務地手当
- 物価手当
- 日直手当
- 宿直手当
- 家族手当
- 休職手当
- 通勤手当
- 住宅手当
- 別居手当
- 早出残業手当
- 継続支給する見舞金等
- 年4回以上支給される賞与
予算委員会でも、労働の対象となる手当すべてが入ると答弁されました。
しかし、通勤手当は仕事を行う上で必ずかかる費用であり、これを報酬と見なされれば社会保険料の負担も増えるため、疑問に思う声もあるのが現状です。
4. 通勤手当は「年収の壁」にも影響
通勤手当を報酬と見なすかどうかについては、年収の壁にも影響を与えます。
年収の壁にはいくつか種類がありますが、所得税のボーダーラインとなる「年収の壁」にはほぼ影響がありません。
また、勤め先の企業規模によって社会保険への加入義務が発生する「年収106万円の壁」においても、通勤手当は含まれないことになっています。
しかし、社会保険上の扶養に入れるかどうかのボーダーラインである「年収130万円の壁」を考えるとき、通勤手当も含まれるので注意が必要です。
5. まとめにかえて
通勤手当を報酬に含めるかどうかは、「税金」と「社会保険料」によって異なります。
社会保険料の計算では通勤手当も含めるため、遠方から通勤している人などは損に感じてしまうこともあるでしょう。
社会保険料が高くなる場合、将来の厚生年金が高くなるという一定のメリットはあるものの、なかなか納得感は持てないかもしれません。
国会でも「努力する」と議論があったことから、今後の動向にも注目しましょう。
参考資料
- 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」
- 厚生労働省「『年収の壁について知ろう』」
- 参議院インターネット審議中継「2025年3月28日予算委員会」
- 国税庁「No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当」
太田 彩子