3. 公務員の退職金が高額になる要因

民間企業と公務員で退職金の平均支給金額が異なる理由として、主に以下のような理由が考えられます。

3.1 給与水準の違い

公務員の基本給は一般的に民間企業より高い水準に設定されています。退職金の計算式では基本給が直接反映されるケースが多いため、この初期値の差がそのまま退職金額の差につながります。

つまり、勤続期間中の給与水準の差が、退職時に顕著な形で表れるのです。

3.2 勤続年数の長さ

公務員は民間企業と比較して離職率が低く、一つの組織で長く勤め上げることが一般的です。

退職金は勤続年数に比例して支給率が上がることが一般的であるため、30年以上といった長期勤続が多い公務員は、必然的に高額な退職金を受け取ることになります。

民間企業では転職によって退職金計算時の勤続年数がリセットされることが多い一方、公務員はこの「積み上げ効果」を最大限に享受できるため、退職金額が高額になりやすいと言えます。

3.3 支給率の高さ

同じ基本給と勤続年数であっても、公務員と民間企業では適用される「支給率」にも違いがあります。

多くの民間企業で採用されている支給率は、公務員のそれよりも低く設定されているケースが多いです。この支給率の差が、同条件でも公務員の退職金が高額になる要因となっています。

4. おわりに

今回は、公務員と民間企業の退職金について、平均支給額や計算方法の違いを検証してきました。統計上では確かに、公務員の退職金は民間企業と比較して高額である傾向が見られます。

しかし、「民間企業」とは公務員と比べて多様であり、中小企業から大手企業まで幅広く存在しています。大手企業の中には公務員を上回る退職金を支給するケースも少なくないため、単純に「公務員の方が有利」とは言い切れません。

統計上の金額はあくまでも参考程度に捉え、自分が所属する組織の退職金制度を正確に理解することが大切です。将来や老後を見据えて、定年退職時にどの程度の退職金が見込めるのかを具体的に把握しておきましょう。

退職金は老後の生活を支える重要な資金源の一つです。今のうちから試算を行い、必要に応じて追加の資産形成を検討するなど、計画的な老後の生活設計を進めていくことで、豊かな老後生活を迎えることができるはずです。

参考資料

斎藤 彩菜