次回の年金支給日は4月15日です。4月に支給される年金は2月・3月分のもので、2025年度の金額で受給が始まるのは6月からとなっています。2025年度の受給額は月額6万9308円です。

総務省の家計調査によると、65歳以上のシニア世代の生活費は、支出が収入を上回っており、赤字の状態となっています。シニア世代は収入が限られるため、家計のやりくりも考えながらしなければなりません。

シニア世代の1ヵ月の支出額は、いくらなのでしょうか。この記事では、シニア世代の1ヵ月あたりの生活費や年金受給額、資産額について解説します。

1. シニアの生活費の支出内訳

総務省の家計調査によると、シニアの生活費の内訳は以下のようになっています。

1.1 〈65歳以上の夫婦世帯〉

収入:25万2818円

  • 社会保障給付:22万5182円(89.1%)
  • その他:2万7636円(10.9%)

支出:25万6521円

  • 食料:7万6352円(29.8%)
  • 住居:1万6432円(6.4%)
  • 光熱・水道:2万1919円(8.5%)
  • 家具・家事用品:1万2265円(4.8%)
  • 被服及び履物:5590円(2.2%)
  • 保健医療:1万8383円(7.2%)
  • 交通・通信:2万7768円(10.8%)
  • 教育:0円(0.0%)
  • 教養娯楽:2万5377円(9.9%)
  • その他の消費支出:5万2433円(20.4%)
    ・うち交際費:2万3888円(9.3%)
  • 非消費支出(税金・社会保険料等):3万356円

1.2 〈65歳以上の単身世帯〉

収入:13万4116円

  • 社会保障給付:12万1629円(90.7%)
  • その他:1万2487円(9.3%)

支出:14万9286円

  • 食料:4万2085円(28.2%)
  • 住居:1万2693円(8.5%)
  • 光熱・水道:1万4490円(9.7%)
  • 家具・家事用品:6596円(4.4%)
  • 被服及び履物:3385円(2.3%)
  • 保健医療:8640円(5.8%)
  • 交通・通信:1万4935円(10.0%)
  • 教育:15円(0.0%)
  • 教養娯楽:1万5492円(10.4%)
  • その他の消費支出:3万956円(20.7%)
    ・うち交際費:1万6460円(11.0%)
  • 非消費支出(税金・社会保険料等):1万2647円

夫婦世帯は3703円、単身世帯は1万5170円の赤字です。税金や社会保険料といった非消費支出も含めると、夫婦世帯は3万4059円、単身世帯は2万7817円の赤字です。

内訳を見てみると、食料費が夫婦・単身どちらも約3割を占めています。また、交通・通信費、教養娯楽費もどちらも多くの割合を占めています。

夫婦世帯、単身世帯ともに食料、住居、光熱・水道で全体の4割以上を占めており、残り6割ほどで医療費や交通費を捻出しなければならない状況です。

次章では、シニアの生活費が赤字となっている理由を解説します。

2. シニアの生活費はなぜ赤字?

シニアの生活費が赤字となっている理由は、物価や社会保険料の上昇が考えられるでしょう。

2025年1月の消費者物価指数(総合指数)は、2020年を100として111.2となっています。前年同月比で4.0%上昇しており、食料品やエネルギーの価格に影響を与えています。

食品だけで見ると、指数は2020年を100として124.7です。とくに生鮮食品は145.7と大幅に上昇しており、私たちの生活に大きな影響をおよぼしています。

また、光熱・水道は2020年を100として119.3です。こちらは前年同月比で11.4%上昇となっており、昨年に比べると大幅に価格が上がっていることがわかります。

エネルギー価格は国際情勢の影響を受けやすいため、今後も大きな動きがある可能性が高いでしょう。

社会保険料についても、給付額の増加などから負担が増えています。たとえば、介護保険料の基準額は、ここ10年程度で増え続けています。

  • 2012〜2014年:4972円
  • 2015〜2017年:5514円
  • 2018〜2020年:5869円
  • 2021〜2023年:6014円
  • 2024〜2026年:6225円

介護保険料は年金生活になっても支払い続けるものです。老後は現役時代よりも収入が減るため、金額が増えれば、負担はより重く感じるでしょう。

シニアの生活費を黒字とするには、年金受給額の増加や十分な資産の備えが必須といえるでしょう。次章では、シニア世代の年金受給額や資産額を解説します。

3. シニア世代の年金受給額・資産額

シニア世代の家計のやりくりは、収入源である年金受給額と、赤字を補填するための資産額が重要です。

現代のシニア世代は、いくらの年金を受け取っており、どれくらいの資産を備えているのでしょうか。年金受給額と資産額を見ていきましょう。

3.1 シニア世代の年金受給額

シニア世代の国民年金(基礎年金)、厚生年金(基礎年金含む)の受給額は、以下のとおりです。

【老齢年金】国民年金の年金受給額3/8

【老齢年金】国民年金の年金受給額

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

〈全体〉平均年金月額:5万7584円
〈男性〉平均年金月額:5万9965円
〈女性〉平均年金月額:5万5777円

【老齢年金】厚生年金の年金受給額4/8

【老齢年金】厚生年金の年金受給額

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

〈全体〉平均年金月額:14万6429円
〈男性〉平均年金月額:16万6606円
〈女性〉平均年金月額:10万7200円

基礎年金は5万円台、厚生年金は14万円台です。夫婦どちらも厚生年金に加入している人であれば、2人で月20万円超の年金を受け取れます。

しかし、単身世帯で厚生年金に加入していない人は、個人年金などを用意していなければ、月5万円ほどの収入しか受け取れません。

また、厚生年金の男女での受給差も約6万円ほどあります。キャリアの歩み方や厚生年金保険への加入期間の長さなどが、受給額に影響しているといえるでしょう。

年金だけでは収入が少なく、大幅な赤字となる可能性も考えられます。資産を現役のうちにどれだけ用意できるかが重要でしょう。

3.2 シニア世代の資産額

シニア世代の資産額も確かめてみましょう。60歳代、70歳代に絞って確認します。

単身世帯(60歳代・70歳代)

まずは単身世帯の資産額を見ていきます。

【円グラフ】60歳代の金融資産保有額(単身世帯)5/8

【円グラフ】60歳代の金融資産保有額(単身世帯)

出所:金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」をもとにLIMO編集部作成

  • 金融資産非保有:27.7%
  • 100万円未満:8.9%
  • 100~200万円未満:5.6%
  • 200~300万円未満:3%
  • 300~400万円未満:3.3%
  • 400~500万円未満:2.8%
  • 500~700万円未満:5.8%
  • 700~1000万円未満:5.1%
  • 1000~1500万円未満:8.2%
  • 1500~2000万円未満:2.6%
  • 2000~3000万円未満:6.1%
  • 3000万円以上:16.8%
  • 無回答:4.2%
     
  • 平均:1679万円
  • 中央値:350万円

【円グラフ】70歳代の金融資産保有額(単身世帯)6/8

【円グラフ】70歳代の金融資産保有額(単身世帯)

出所:金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」をもとにLIMO編集部作成

  • 金融資産非保有:27.0%
  • 100万円未満:5.1%
  • 100~200万円未満:5.7%
  • 200~300万円未満:4.9%
  • 300~400万円未満:3.9%
  • 400~500万円未満:2.2%
  • 500~700万円未満:7.3%
  • 700~1000万円未満:5.9%
  • 1000~1500万円未満:8.9%
  • 1500~2000万円未満:4.7%
  • 2000~3000万円未満:6.1%
  • 3000万円以上:15.9%
  • 無回答:2.4%
     
  • 平均:1634万円
  • 中央値:475万円

60歳代、70歳代ともに平均資産額は2000万円に届いていません。中央値は60歳代が350万円、70歳代も475万円と、平均値とは乖離しています。

とくに金融資産非保有の世帯と3000万円以上保有する世帯が多くの割合を占めており、資産を十分に備えている人とまったく持っていない人の二極化が激しくなっています。

二人以上世帯(60歳代・70歳代)

次に、二人以上世帯の資産額も見てみましょう。

【円グラフ】60歳代の金融資産保有額(二人以上世帯)7/8

【円グラフ】60歳代の金融資産保有額(二人以上世帯)

出所:金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」をもとにLIMO編集部作成

  • 金融資産非保有:20.5%
  • 100万円未満:6.5%
  • 100~200万円未満:5.3%
  • 200~300万円未満:3.7%
  • 300~400万円未満:3.1%
  • 400~500万円未満:3.1%
  • 500~700万円未満:6.3%
  • 700~1000万円未満:5.3%
  • 1000~1500万円未満:8.9%
  • 1500~2000万円未満:5.8%
  • 2000~3000万円未満:8.0%
  • 3000万円以上:20.0%
  • 無回答:3.6%
     
  • 平均:2033万円
  • 中央値:650万円

【円グラフ】70歳代の金融資産保有額(二人以上世帯)8/8

【円グラフ】70歳代の金融資産保有額(二人以上世帯)

出所:金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」をもとにLIMO編集部作成

  • 金融資産非保有:20.8%
  • 100万円未満:5.4%
  • 100~200万円未満:4.9%
  • 200~300万円未満:3.4%
  • 300~400万円未満:3.7%
  • 400~500万円未満:2.3%
  • 500~700万円未満:4.9%
  • 700~1000万円未満:6.4%
  • 1000~1500万円未満:10.2%
  • 1500~2000万円未満:6.6%
  • 2000~3000万円未満:8.9%
  • 3000万円以上:19%
  • 無回答:3.5%
     
  • 平均:1923万円
  • 中央値:800万円

二人以上の世帯では、平均値、中央値こそ単身世帯よりも増えていますが、金融資産を多く備える世帯とそうでない世帯の二極化傾向は変わりません。

60歳代、70歳代ともに30%以上の世帯が2000万円の資産を用意できていますが、金融資産を持っていない世帯も20%程度存在します。

ただし、単身世帯に比べると金融資産を持っていない世帯は少なくなっています。

資産を十分用意できている世帯は、毎月の家計が赤字でも資産を取り崩していけば、問題なく家計のやりくりができるでしょう。一方、資産が少ない世帯は、年金が頼りとなる苦しいやりくりを強いられてしまうと考えられます。

4. まとめ

シニア世代の毎月の支出は食料費や交通・通信費などが多く占めており、収入額を上回る金額となっています。

資産を取り崩せれば家計の黒字化は十分可能ですが、世帯によっては資産が少なく苦しい老後生活となることも考えられます。

数十年後の物価動向はなかなか見通せません。老後に困窮しないよう、現役のうちから年金や資産を増やす工夫が必要でしょう。

参考資料

石上 ユウキ