2025年度は年金の1.9%引き上げが発表された一方で、食品や光熱費の高騰、医療費の負担増など、シニア世代の家計には厳しい現実が続いています。
そのような状況だからこそ、「もらえるはずのお金」をきちんと受け取ることが重要です。
国や自治体の制度には、シニア向けに用意されている給付や手当が多数ありますが、その多くは申請しなければ受け取れません。
本記事では、国から受けられる「給付金・手当」5選を厳選してご紹介します。
「知らなかった」で損をしないために、ぜひ最後までチェックしてみてください。
1. 【シニア向け】国から受けられる給付や手当5選
国や自治体から受けられる給付や手当にはさまざま種類があります。
今回は、その中からシニア向けの制度をご紹介します。
- 高年齢求職者給付金
- 高年齢雇用継続基本給付金
- 再就職手当
- 年金生活者支援給付金
- 加給年金
2. 【申請必須】シニア向けの給付・手当5選
2.1 高年齢求職者給付金
高年齢求職者給付金は、65歳以上の高年齢被保険者が離職し、再就職を希望する際に支給される一時金です。
支給要件
- 離職日以前の1年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して6か月以上あること
- 失業の状態にあること
支給額
被保険者期間が1年未満:基本手当日額の30日分
被保険者期間が1年以上:基本手当日額の50日分
申請手続き
離職票を持参し、ハローワークで求職の申込み
2.2 高年齢雇用継続基本給付金
高年齢雇用継続基本給付金は、60歳以上65歳未満の一般被保険者が、60歳到達時の賃金月額に比べて75%未満に低下した場合に支給される給付金です。
支給要件
- 被保険者であった期間(※)が5年以上あること。
- 支給対象月の初日から末日まで被保険者であること。
- 支給対象月中に支払われた賃金が、60歳到達時等の賃金月額の75%未満に低下していること。
- 支給対象月中に支払われた賃金額が、支給限度額未満であること。
- 申請後、算出された基本給付金の額が、最低限度額を超えていること。
- 支給対象月の全期間にわたって、育児休業給付または介護休業給付の支給対象となっていないこと。
(※)「被保険者であった期間」とは、雇用保険の被保険者として雇用されていた期間の全て。なお、離職等による被保険者資格の喪失から新たな被保険者資格の取得までの間が1年以内であること及びその間に求職者給付及び就業促進手当を受給していない場合、過去の「被保険者であった期間」として通算。
支給額
賃金の低下率に応じて、以下のように支給率が決定されます。
- 低下率が61%以下:支給対象月の賃金に対して15%
- 低下率が61.5%~75%以上:同 14.35%~0%
申請手続き
勤務先を通じて必要書類をハローワークに提出
2.3 再就職手当
再就職手当は、雇用保険の基本手当(失業給付)を受給中の方が、所定給付日数の3分の1以上を残して安定した職業に早期再就職した場合に支給される手当です。 なお、前述の「高年齢再就職給付金」と併給ができません。
支給要件
- 待期期間(7日間)経過後の就職であること
- 基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること
- 同じ事業主への就職でないこと
- 給付制限期間がある場合、待機期間満了後1ヶ月間はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したこと
- 再就職先で1年以上の雇用が見込まれること
- 雇用保険の被保険者であること
- 過去3年以内に再就職手当または就業手当を受給していないこと
- 受給資格決定前に採用が内定していないこと
支給額
支給残日数が所定給付日数の3分の2以上の場合: 70%
支給残日数が所定給付日数の3分の1以上の場合: 60%
基本手当日額の上限
60歳未満: 6395円
60歳以上65歳未満: 5170円
申請手続き
再就職手当支給申請書と必要書類を、再就職日の翌日から1か月以内にハローワークに提出
2.4 年金生活者支援給付金
年金生活者支援給付金制度は、公的年金等の収入や所得が一定基準以下の年金受給者に対し、生活の支援を目的として年金に上乗せして支給される制度です。
支給要件
【老齢年金生活者支援給付金の支給要件】
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下(※2)
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
なお、障害年金および遺族年金の受給者については別途要件が定められています。
給付額
老齢年金生活者支援給付金: 月額5310円(2024年度基準)
※実際の支給額は、保険料納付済期間や所得状況により異なります。
なお、2025年度の年金額改定により、老齢年金生活者支援給付金の給付基準額が月額5450円(+140円)に上昇します。
申請手続き
日本年金機構から送付される「年金生活者支援給付金請求書」を提出
2.5 加給年金
加給年金は、一定の条件を満たす場合に支給される年金です。
支給要件
厚生年金保険の被保険者期間が20年(※)以上ある方が、65歳到達時点(または定額部分支給開始年齢に到達した時点)で、その方に生計を維持されている配偶者または子がいるときに加算されます。
65歳到達後(または定額部分支給開始年齢に到達した後)、被保険者期間が20年(※)以上となった場合は、在職定時改定時、退職改定時(または70歳到達時)に生計を維持されている配偶者または子がいるときに加算されます。
(※)または、共済組合等の加入期間を除いた厚生年金の被保険者期間が40歳(女性と坑内員・船員は35歳)以降15年から19年
加給年金額
配偶者と1人目・2人目の子については各23万4800円、3人目以降の子は各7万8300円となっています。また、配偶者の加給年金の額には、老齢厚生年金を受けている方の生年月日に応じて、3万4700円から17万3300円が特別加算されます。
3. まとめにかえて
国や自治体が用意しているシニア向けの給付・手当は、生活を安定させ、老後の不安を軽減する大きな支えになります。
しかし、制度の多くは自動的に支給されるわけではなく、申請が必要です。
今回ご紹介した5つの制度も、該当する条件を満たしていながら、利用していない方が少なからずいるのが実情です。
まずは自分やご家族が該当するかを確認し、早めの情報収集と手続きを進めることが大切です。
社会保障制度を上手に活用し、少しでも安心できるシニアライフを送りましょう。
参考資料
- 厚生労働省「離職されたみなさまへ」
- 厚生労働省「Q&A~高年齢雇用継続給付~」
- 厚生労働省「「高年齢雇用継続基本給付金」 「高年齢再就職給付金」」
- 厚生労働省「再就職手当のご案内」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
- 日本年金機構「加給年金額と振替加算」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
加藤 聖人