【元銀行員が解説します！】死亡届を出す前に「ATMでこっそりお金を引き出す」はNG？！役所に死亡届を出したら銀行口座もすぐに凍結されるの？？相続発生時の注意点とは？「預金払戻し制度」を理解しておこう！

2. 口座凍結前に「勝手にATMで預金を引き出す」リスクとは

銀行に死亡届を提出しない限り、口座は引き続き使用可能なため、銀行に連絡する前にATMで預金を引き出そうと考える方もいるかもしれません。

しかし、以下のようなリスクやトラブルが発生する可能性があるため注意が必要です。

相続手続きを経ずに、口座が凍結される前に預金を引き出す行為は、他の相続人から「不正行為」と見なされることがあります。

引き出した預金は「相続財産」として遺産分割協議の対象となるため、無断で引き出すと親族間に不信感を抱かせ、重大なトラブルに発展する可能性があります。

相続では、故人の財産（プラス）と負債（マイナス）の両方を引き継ぐことになります。

借金が多額の場合、家庭裁判所に申し立てを行えば「相続放棄」も可能ですが、口座が凍結される前に名義人以外の人が預金を引き出すと、それが「単純承認」と見なされ、相続放棄や限定承認を行うことができなくなる可能性があります。

そのため、相続財産の詳細が不明なまま預金を引き出すことは避けるべきです。

ただし、葬儀費用や故人の医療費など、手続き上で急な資金が必要になることもあります。

次章では、口座が凍結された後でも一部の預金を引き出せる「預金払戻し制度」について詳しく解説します。