3. シニア世代の年金受給額と資産額
年金生活者支援給付金を受給するには、所得が78万9300円以下、もしくは78万7700円以下でなければなりません。所得がすべて年金の場合、受給額が月額6万5775円または6万5583円以下の場合に、支給されます。
厚生年金(基礎年金含む)のシニア世代の年金受給額を見てみましょう。
月額6万円以下の受給者は男性が11万3387人、女性が32万3031人となっています。合計で約43万人が、年金生活者支援給付金の対象となる可能性があります。年金月額6万円〜6万5000円程度の人も含めると、該当の可能性がある人はさらに多いでしょう。
また、厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、国民年金(基礎年金)の平均受給月額は5万7584円です。年換算すると69万1008円と、老齢年金生活者支援給付金の所得要件に合致します。
年金以外の所得金額にもよりますが、年金が月額6万円台前半や6万円以下の人の多くは、年金生活者支援給付金の対象となる可能性があります。
4. まとめ
老齢年金生活者支援給付金は、年金受給額が少ない人が生活に困らないよう支援するための措置です。給付を受け取れれば、生活のやりくりが多少楽になるでしょう。
一方、年金生活者支援給付金の財源は消費増税分となっており、消費税率の動向によって制度のあり方が決まる仕組みになっています。今後の高齢化や受給者の増加に耐えうる制度設計も望まれます。
参考資料
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
- 日本年金機構「65歳の誕生日を迎え、老齢基礎年金を新規に請求する方」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」
- 総務省「2020年基準 消費者物価指数 全国 2024年(令和6年)12月分及び2024年(令和6年)平均」
- 厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
石上 ユウキ