公的年金は賃金や物価を考慮したうえで、年度ごとに改定されます。

厚生労働省が2025年1月24日に公表した「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」によると、2025年度の年金額は1.9%の引き上げとなっています。

しかし、物価高が続いていることもあり「年金だけで十分なのか」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。

多くの場合、年金を受給する年代になると、現役時代と比べ収入が減少する傾向にあります。

そのため、現役時代の頃から、老後に向けた資金の準備を進めておくことが大切です。

なかには「老後どのような生活になるのか検討がつかない」という方もいらっしゃるでしょう。

そこで今回は、65歳以上のシニア世帯における「貯蓄額・家計の赤字額・持ち家率」の平均はどれくらいなのか詳しく見ていきます。

老後の計画を立てる際の参考にご覧ください。

1. 65歳以上【老齢年金世代】無職夫婦世帯の家計収支は《毎月赤字が約3.4万円》

2025年3月11日に厚生労働省が公表した「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」から、65歳以上無職夫婦世帯のひと月の家計収支を見てみましょう。

完全リタイア後は、一般的には現役時代よりも少ない収入でやりくりをする必要があります。標準的なリタイア夫婦世帯の家計はどのようになっているのでしょうか。

1.1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計収支(2024年)

65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計収支(2024年)

65歳以上の生活費

出所:総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要

毎月の実収入:25万2818円

■うち社会保障給付(主に年金)22万5182円

毎月の支出:28万6877円

■うち消費支出:25万6521円

  • 食料:7万6352円
  • 住居:1万6432円
  • 光熱・水道:2万1919円
  • 家具・家事用品:1万2265円
  • 被服及び履物:5590
  • 保健医療:1万8383円
  • 交通・通信:2万7768円
  • 教育:0円
  • 教養娯楽:2万5377円
  • その他の消費支出:5万2433円
  • 諸雑費:2万2125円
  • 交際費:2万3888円
  • 仕送り金:1040円

■うち非消費支出:3万356円

  • 直接税:1万1162円
  • 社会保険料:1万9171円

毎月の家計収支

  • 3万4058円の赤字

この世帯の場合ひと月の収入は25万2818円、その約9割(22万5182円)を公的年金などの社会保障給付が占めます。

一方で支出の合計は28万6877円。そのうち社会保険料や税などの「非消費支出」が3万356円、いわゆる「生活費」にあたる消費支出が25万6521円でした。

この夫婦世帯の場合、毎月3万4058円の赤字となり、不足分を貯蓄の取り崩しなどでカバーしていく必要があります。

なお、支出の内訳のうち「住居費」は1万6432円と、比較的低く抑えられています。これはシニア世帯の持ち家率と関係がありそうです。そこで次では65歳以上の住居形態に関するデータものぞいてみましょう。