4.1 相続預金の払い戻し制度を知ろう

とはいっても、「入院費用を精算したい」「葬儀費用を個人の預金で支払いたい」といった事情もあるでしょう。

その場合は、「相続預金の払い戻し制度」を利用する方法があります。

通常、凍結された口座は相続手続きを終えるまで引き出すことができません。

しかし、相続預金の払い戻し制度では一定の条件を満たすと、遺産分割手続きを終える前でも預金の一部を引き出すことができます。

「預貯金の払い戻し制度」とは?

払い戻し制度図

出所:法務省「相続に関するルールが大きく変わります」

故人の預金で支払いたいものなどがある場合は、一度金融機関へ相談してみるとよいでしょう。

ただし、この場合も後々のトラブルを防ぐため、他の相続人に引き出しの事実を伝えておくと安心です。「葬儀費用を支払うため」など、引き出す理由もきちんと伝えるようにしましょう。

5. 元気なうちから相続について話し合っておくことが大切

親が亡くなるとすぐに口座が凍結されてしまうわけではありませんが、一度凍結された口座は相続手続きを終えるまで原則引き出すことができません。

相続が発生してから慌てることのないように、葬儀費用や火葬・埋葬にかかる費用などをどのように工面するか、遺った資産はどのように相続するかということを元気なうちから家族間で話し合っておくことが大切です。

参考資料

椿 慧理