2. 月額15万円の年金を繰上げ受給したらいくら受け取れる?

月額15万円の年金を60歳0ヵ月から繰上げ受給したとすると、受け取れる年金額は以下のようになります。

  • 15万円×76%=11万4000円

月あたりの年金額は11万4000円となります。60歳0ヵ月から受け取ると、5年間受給タイミングが早まる代わりに、本来受け取れる金額の約4分の3程度の金額まで受給額が減ってしまうのです。

加えて、受給額が変わらないと仮定して、60歳から受け取った場合と65歳から受け取った場合の金額を比較すると、80歳時点で受給額が逆転します。

年金月額15万円「60歳繰上げ受給・65歳から受給」で受給総額を比較

年金月額15万円「60歳繰上げ受給・65歳から受給」で受給総額を比較

出所:筆者作成

80歳時点の年金受給額

  • 60歳から受給:2872万8000円
  • 65歳から受給:2880万円

よって、繰上げ受給は長生きするほど損する可能性があるでしょう。

2.1 手取り年金額はいくら?

年金からは社会保険料が差し引かれます。年金生活をする60〜64歳は、所得税や住民税に加えて、国民健康保険料と介護保険料を納めます。ただし、介護保険料は国民健康保険で「介護分」として徴収される仕組みです。

新宿区在住の60歳・単身世帯の人を例に、手取り年金額を算出します。

  • 所得税:6850円
  • 住民税:3万8800円
  • 国民健康保険料(介護保険料含む):12万8237円
  • 合計:17万3887円
  • 手取り年金額
    ・年額:119万4113円
    ・月額:9万9509円

年間約17万円、月あたり約1万5000円が差し引かれます。

60〜64歳は公的年金等控除額が65歳以上に比べて少なく、所得税がかかりやすいです。一方、介護保険料は65歳以上と算定方法が異なるため、65歳時点の金額よりは低い傾向にあります。

国民健康保険料は自治体によって異なるため一概にはいえませんが、月額15万円の年金を繰上げ受給すると、実際の受給金額は10万円を下回る可能性があるとおさえておきましょう。

次章では、繰上げ受給の対象である60〜64歳の平均年金月額を解説します。