2025年度の基礎年金の受給額は6万9308円です。厚生年金を含めれば、月額15万円程度の年金を受け取れる人もいるでしょう。一方で、年金の価値が目減りしている点には、注意したいところです。

年金は原則65歳から受け取ります。しかし、年金は受給の繰上げ・繰下げが可能です。もし月額15万円の年金を受け取れる人が、60歳から年金を繰上げ受給した場合、いくら受け取れるのでしょうか。この記事では、繰上げ受給時の年金受給額を解説します。

1. 年金の繰上げ受給とは

年金の繰上げ受給とは、本来65歳から受け取る老齢年金をより早いタイミングで受給できる制度です。繰上げは1ヵ月単位で申請でき、最短で60歳からの年金受給が可能です。原則、老齢基礎年金と老齢厚生年金は同時に繰上げ請求が行われます。

繰上げ受給は、受給額を満額に近づけるために、60〜65歳未満の人が国民年金へ任意で加入する「任意加入制度」を使う場合は、繰上げ受給ができません。また、一度繰上げ請求すると取り消しはできません。

繰上げ受給制度は、年金の受給タイミングを早くできる代わりに、受給額が減少します。受給額の減少は生涯にわたって続きます。昭和37年4月2日以降に生まれた人の減額割合は、1ヵ月あたり0.4%です。60歳で受け取った場合は、本来受け取れる金額から24%減額となります。

なお、昭和37年4月1日以前に生まれた人の減額割合は、1ヵ月あたり0.5%です。そのため、最大で30%の年金が減額されます。

年金の繰上げ受給は、年金をすぐに受け取れるため、老後生活の資産がほとんどない人には有効です。一方、60歳以降も働く予定のある人や障害年金、遺族年金を受け取っている人などは、受給額が減ったり受給が停止されたりするため、繰上げ受給しないほうがよいケースもあります。

次章では、月額15万円の年金を繰上げ受給した場合の受給金額を解説します。