2025年度の基礎年金受給額は月額6万9308円、年間83万1696円です。今年度から月あたり1308円引き上げられますが、物価上昇の伸びには追いついておらず、実質的に目減りとなっています。
シニア世代の家計のやりくりで頭を悩ませるのが「社会保険料」です。社会保険料は老後生活でも引き続き払い続ける必要があります。
年金月額15万円を受給する人は、月・年あたりいくらの社会保険料を支払っているのでしょうか。この記事では、シニア世代が納める社会保険料について解説します。
1. シニア世代が負担する社会保険料
シニア世代が負担する社会保険料は、以下のとおりです。
- 健康保険料
- 後期高齢者医療保険料
- 介護保険料
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
働いている人は、健康保険料や介護保険料に加えて、厚生年金保険料や雇用保険料を納める場合があります。それぞれどのようなものなのか、今一度確認していきましょう。
1.1 健康保険料
健康保険料は、誰もが安心して医療を受けるために加入するものです。働いている人は会社の健康保険に、退職している人は会社の健康保険を任意継続するか国民健康保険に加入するかのどちらかを選択します。
会社の健康保険料の場合、保険料は自治体によって異なります。たとえば、東京都で会社の健康保険に加入する人の保険料は、給料を所定の等級に区分した標準報酬月額に9.98%を掛けた金額です。
ただし、会社に勤める人の健康保険料は事業主と折半するため、実際に支払うのは半分の金額です。実際に負担している金額は、給与明細などで確認しましょう。なお、任意継続の場合は全額自身で負担します。
国民健康保険に加入する場合は、加入する市町村国保や国保組合によって保険料が異なります。どの保険に入る場合でも、以下の3つの費用から保険料が構成されます。
- 基礎賦課額(医療分):医療費の給付財源となる費用
- 後期高齢者支援金等賦課額(支援金分):後期高齢者医療制度を支援するための費用
- 介護納付金賦課額(介護分):40〜64歳の人が支払う、介護保険の財源となる費用
それぞれの算定基準は、以下のとおりです。
- 所得割:(所得金額-基礎控除43万円)×所定割合
- 均等割:(世帯の被保険者数×各自治体の均等割額)
- 平等割:各自治体の平等割額
- 資産割:固定資産税額×所定割合
実際に負担している金額は、住んでいる市区町村や加入する国保組合に問い合わせてみましょう。
1.2 後期高齢者医療保険料
後期高齢者医療保険料は、75歳以上になると加入する後期高齢者医療制度の保険料です。75歳を迎えると、それまで加入していた健康保険や国民健康保険の被保険者でなくなり、自動的に後期高齢者医療保険制度に加入します。
保険料は都道府県ごとに異なり、2024年度の全国平均は月額7082円、年額8万4988円です。
1.3 介護保険料
介護保険料は、社会全体で介護を支えるために徴収される保険料で、40歳以上の人が納めるものです。40〜64歳の人は第2号被保険者、65歳以上の人は第1号被保険者に区分され、所定の保険料を納めます。
シニア世代の介護保険料は自治体ごとに定められています。各自治体の介護保険料基準額に基づき、所得に応じて複数の段階分けをしたうえで、基準額に所定の倍率をかけて算出しています。
今年度の基準額の全国平均は6225円です。介護保険料は3年ごとに基準額が見直されており、現行の基準額は2026年度までとなっています。
1.4 厚生年金保険料
年金を受給しながら働く人で、厚生年金の適用事業所に勤めている場合は、厚生年金保険料を納めます。
保険料は「標準報酬月額×18.3%」です。ただし、保険料は事業主と折半するため、実際に納めるのは「標準報酬月額×9.15%」です。
なお、70歳以上になると、原則厚生年金保険の被保険者から外れ、任意で加入することになります。70歳以上で厚生年金保険に加入する場合、保険料は徴収されませんが、年金額への反映もありません。
1.5 雇用保険料
雇用保険料は、労働者の生活や雇用の安定、就職促進に向けた給付を受けるための保険料です。65歳以上であっても、雇用されていれば雇用保険料を納めることになります。
保険料は事業主負担分と労働者負担分があり、労働者は給与や賞与の0.6%(一般の事業)を負担します。
次章では、年金月額15万円の人が支払う社会保険料を試算しましょう。