2. 「60歳で年金を受け取って65歳まで働く」ことはできる?注意点は?
結論として、60歳から年金を受給し、65歳まで働くことは可能です。
しかし、いくつかのポイントに注意しないと、状況によっては「年金額が減少する」ケースもあるため、慎重に判断する必要があります。
本章では、60歳で年金を受け取りつつ働き続ける際に押さえておくべき重要な点について解説します。
2.1 高年齢雇用継続給付
高年齢雇用継続給付とは、60歳以降に賃金が60歳時点の75%未満に下がった場合に、就労を継続する人を支援するための給付金です。
この制度の対象となるのは、「60歳以上65歳未満の一般被保険者」であり、かつ雇用保険の加入期間が5年以上ある方です。
ただし、年金を受給しながら厚生年金保険に加入している場合、高年齢雇用継続給付を受け取ることで、在職に伴う年金の支給停止に加え、年金の一部が減額される可能性があります。
その際の支給停止額(月額)は、最大で標準報酬月額の6%に相当する金額となります。
そのため、60歳から65歳の間に高年齢雇用継続給付を利用しながら繰上げ受給を検討する際は、年金の支給停止に該当しないか事前に確認することが重要です。
2.2 失業給付
65歳になるまでの特別支給の老齢厚生年金といった年金と、雇用保険の失業給付は同時に受給することはできません。
ハローワークで求職の申し込みを行った場合、申し込んだ月の翌月から失業給付の受給期間が終了した月(または所定の給付日数をすべて受け終えた月)まで、年金の支給は全額停止されます。
なお、求職の申し込み後に基本手当を受給しなかった月がある場合、その期間の年金はすぐには支払われず、約3ヶ月後に支給されます。
さらに、年金を受給している方がハローワークで求職の申し込みを行う際には、年金事務所への届出が必要になるケースもあるため、事前に確認しておきましょう。