現代は「人生100年時代」とも言われ、定年退職後も働き続けるシニア層が増加しています。

特に近年では、「2000万円問題」や「年金の実質的な目減り」などが話題となり、年金収入だけでは不安を感じる人が多くなっています。

その結果、老後も仕事を続けるという選択をする人が増えているのです。

なお、日本の公的年金は原則として65歳から受給できますが、制度を活用すれば60歳から受け取りを開始することも可能です。

では、60歳で年金を受け取りながら65歳まで働く場合、どのような点に留意すべきなのでしょうか。

本記事では、「繰上げ受給の制度概要」とともに、「年金を受け取りながら働く際の注意点」について解説していきます。

1. 「年金を早く受け取りたい人」は繰上げ受給を活用しよう

先述のとおり、公的年金の受給開始年齢は原則65歳ですが、「繰上げ受給」という制度を活用すれば、最短で60歳から受け取ることが可能です。

この繰上げ受給とは、本来の受給開始年齢より早く年金を受け取れる仕組みで、定年退職や早期退職などの理由で収入が途切れる場合に備え、最大で5年前倒しすることができます。

ただし、この制度を利用すると、受給額が減額される点に注意が必要です。

減額率は「繰上げた月数×0.4%」となり、一度繰り上げると生涯にわたり減額されたままとなります。

たとえば、年金の本来の受給額が15万円の場合、60歳から繰上げ受給を選択すると、受給額は「11万4000円」に減少します。

では、繰上げ受給を活用して「60歳から年金を受け取り、65歳まで働く」という選択は可能なのでしょうか。