2024年からNISA制度が拡充され、より利便性が向上しました。
また、老後に向けて効率よく資産形成できる制度として、iDeCoも注目されています。
いずれも資産形成を進めるうえで有利な制度ですが、目的や趣旨は異なります。
自分にとって必要かどうかを見極めたうえで、どのように活用するのが効果的かを考えましょう。
1. NISAとiDeCoの比較は無意味である
NISA(少額投資非課税制度)とiDeCo(個人型確定拠出年金)は、「運用益が非課税になる」という共通項があるものの、目的や仕組みは全く異なります。
単純な比較はできないため、それぞれの特徴やメリットを理解したうえで、自分に合った制度を利用しましょう。
必要であれば両方を利用すればよく、「iDeCoは当面の間は不要である」と判断したら、NISAだけ利用すれば問題ありません。
2. NISAの特徴とメリット
NISAの正式名称は「少額投資非課税制度」です。投資をする目的は特に定められておらず、教育資金や住宅資金を用意するために使っても、娯楽費を用意するために使っても問題ありません。
「非課税」という言葉があるように、「つみたて投資枠」は年間で120万円・「成長投資枠」は年間で240万円、最大で年間360万円まで非課税投資を行えます(制度全体では1800万円まで)。
つまり、投資をして利益が得られたとき、本来であれば発生する20.315%の税金が免除される制度です。リスクを取って投資をしようと考えている方であれば、利用すべき制度といえるでしょう。
ただし、NISAの恩恵を得るためには「投資をすること」が前提です。株式や投資信託、ETFなど価格変動があるリスク商品を購入しなければ、非課税となるメリットは受けられません。
つまり、「投資をする気は全くない」「リスクを取って運用するのは嫌だ」と考えている方にとって、NISAは無理に利用する必要はありません。
3. iDeCoの特徴とメリット
iDeCoの正式名称は「個人型確定拠出年金」で、自分が拠出した掛金を運用し、自分専用の年金を作る私的年金制度です。「年金」という名前があるように、老後生活に向けた資産を用意する目的に特化している点が特徴です。
「老後生活に対する不安はない」という方以外は、基本的に利用する価値がある制度といえるでしょう。
また、iDeCoには社会保険料のように、拠出した掛金が全額所得控除されるメリットがあります。つまり、現役時代の税負担を軽減しながら、老後生活に向けた資産形成を行えます。
また、iDeCoには「元本確保型商品」が用意されており、リスクを取って運用する必要は必ずしもありません。NISAではリスクを取って運用することが前提である一方で、iDeCoでは節税メリットだけ享受しつつ、安全に運用できます。
ただし、iDeCoは原則として60歳まで引き出せません。突発的な支出が発生したとき、運用している資金から引き出して支出に充てることはできないため、注意が必要です。
iDeCoでは、自営業者やフリーランスの方は、多くの掛金を拠出できる制度となっています。所得控除のメリットが大きいからといって、無理に掛金を拠出すると、資金繰りに困る事態になりかねません。
4. 受け取るときの税金に注意
実際に運用しているお金を受け取る(引き出す)ときも注意が必要です。
NISAでは、受け取るときに税金は発生しません。iDeCoは一時金で受け取るときは「退職所得控除」、年金で受け取る場合は「公的年金等控除」が適用されるものの、控除を超えた部分は課税対象です。
両制度の特徴をまとめると、以下のようになります。
NISAとiDeCoは、いずれも資産形成の手段としては優れた制度です。投資する経済的な余力があれば、どちらも利用したほうがよいでしょう。
「いずれか一方を選ぶ」という場合は、それぞれの目的や特徴、自分にとっての必要性を見極める必要があります。現在の年齢や今後のライフステージ、リスク許容度などを総合的に鑑みたうえで、より利用価値のある制度を利用しましょう。
5. まとめにかえて
NISAは利便性に優れており、さまざまな用途で運用資産を引き出せます。iDeCoは老後資産を着実に用意でき、掛金拠出時・運用時・受取時に税制優遇を受けられるメリットがあります。
いずれも政府が用意している税制優遇制度であるため、投資をしたり老後資産を計画的に用意したりするときには有効活用すべきでしょう。
ただし、NISAはリスクを取って投資をしなければ意味がなく、iDeCoは運用資産を60歳まで引き出せません。両制度の特徴・メリット・デメリットや自分にとっての必要性を考えたうえで、有効な活用方法を考えてみてください。


