年金保険料の負担は、年々重くなってきています。2025年度の国民年金保険料は、今年度から530円上昇した1万7510円です。また、今年度の実質賃金は▲0.2%と3年連続マイナスで、私たちの手取り給料は減り続けています。

そして、厚生年金保険料も算定基準である「標準報酬月額」の上限引き上げが検討されています。社会保険料は年金財政を支える財源となっていますが、物価上昇の影響から、保険料負担の増加は大変重いものとなるでしょう。

果たして、現在検討されている引き上げ案はどのようなものなのでしょうか。この記事では、厚生年金保険料の引き上げ案について解説します。

1. 厚生年金保険料の決まり方

私たちが納める厚生年金保険料は、給与額や厚生年金保険への加入期間で決まります。厚生年金保険料の計算式は、以下のとおりです。

厚生年金保険料の計算式

厚生年金保険料の計算式

出所:日本年金機構「厚生年金保険料額表」をもとに筆者作成

  • 毎月の保険料:標準報酬月額×保険料率(18.3%)
  • 賞与の保険料:標準賞与額×保険料率(18.3%)

保険料は、標準報酬月額や標準賞与額に対し保険料率をかけて算出します。保険料率は18.3%で、被保険者と事業主で折半して支払います。

標準報酬月額とは、毎月の給与を32区分に分けたものです。標準報酬月額の上限額は65万円で、給与が63万5000円以上であれば、どれだけ給与が高くても65万円を標準報酬月額として保険料を算出します。保険料は折半額で8052円〜5万9475円です。

標準賞与額は、賞与額から1,000円未満の端数を切り捨てた額です。賞与額が39万9500円だった場合、標準賞与額は39万9000円となります。標準賞与額の上限は150万円です。

次章では、厚生年金保険の引き上げについて解説します。