厚生労働省が発表した最新データによれば、2025年度の年金額は増額改定が行われたものの、物価上昇には追いつかず、実質的な減少が続いています。
こうした状況の中で、日本では定年後も働き続けるシニア層が増えている傾向があります。
ただし、一定の収入を超えると年金が減額される「在職老齢年金制度」の存在があることから、この制度を意識しながら働くシニアは多いです。
そんな「在職老齢年金制度」ですが、2025年度の「支給停止調整額(年金が減額される収入の基準額)」が、厚生労働省より1月下旬に公表されました。
本記事では、2025年度における最新の在職老齢年金制度の支給停止調整額について紹介します。
在職老齢年金制度の概要についても説明しているので、あわせて参考にしてください。
1. 働きすぎると年金がカットされるって本当?「在職老齢年金制度」とは?
在職老齢年金制度とは、年金を受給しながら厚生年金保険に加入して働く場合、一定の収入を超えると「年金の一部または全額が支給停止」となる制度です。
この支給停止の基準は、労働収入と年金収入の合計額をもとに設定され、「支給停止調整額」と呼ばれています。
在職老齢年金制度によってカットされる「年金額(支給停止額)」は、次の計算式で求められます。
在職老齢年金の支給月額(調整後) = 基本月額 - (基本月額 + 総報酬月額相当額 - 支給停止調整額) ÷ 2
ここでいう「基本月額」とは、加給年金額を除いた厚生年金の月額を指します。
一方、「総報酬月額相当額」とは、直近1年間の標準賞与額を12分の1に換算したものです。
2024年度の「支給停止調整額」は50万円となっており、労働収入と年金収入の合計がこの金額を超えると、年金が減額される仕組みとなっています。
なお、2025年1月下旬に厚生労働省より、2025年度の在職老齢年金制度の支給停止調整額が発表されました。
1.1 2025年度の「支給停止調整額」は51万円
厚生労働省の「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」によると、2025年度の支給停止調整額は「51万円」となりました。
上記表からも分かるように、前年度の支給停止調整額と比べて、上限額が1万円引き上げられる形となりました。
なお、在職老齢年金制度では、労働収入が増えるほど年金の減額幅も大きくなります。
では、具体的にどのくらいの年収になると、年金が減額されるのでしょうか。