筆者は独立系ファイナンシャルアドバイザーとして、さまざまな世代の方から将来資金準備についてご相談を受けますが、「インフレを考えると老後資金はどのくらい準備をしたらよいのか」や「今いくら貯金に回したらよいのか」というお悩みがとても多いです。
将来的なインフレ率や必要資金は誰にもわからないため、確実な金額はわかりかねます。ですが現在のインフレ率や、いま年金を受け取っている世帯のお金事情をよく知り、ご自身にあわせて考えることであるどのくらい準備をしておく必要があるかの目安を把握することができるのではないでしょうか。
今回は70歳代のお金事情「貯蓄額・年金額・生活費」を、各種統計資料をもとにご紹介していきます。
自分自身どのくらい準備をしておくと安心か、考えながら見ていきましょう。
1. 【最新】70歳代「ひと月の生活費」はいくらか。家計収支を見る
老後の生活費を考える際の参考までに、70歳代の生活費を見てみましょう。
総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」より、70歳代夫婦の支出を確認します。
1.1 70歳代の実収入
- 70~74歳:27万5420円(うち社会保障給付21万7558円)
- 75歳以上:25万2506円(うち社会保障給付20万7623円)
1.2 70歳代の支出合計(非消費支出・消費支出)
- 70~74歳:30万3849円(3万4834円、26万9015円)
- 75歳以上:27万3398円(3万558円、24万2840円)
1.3 70歳代の家計収支
- 70~74歳:▲2万8419円
- 75歳以上:▲2万892円
70歳代・二人以上世帯の実収入はいずれも年金が20~21万円ほど、合計で25~27万円でした。
一方で支出をみると70歳代前半は27万円近くですが、75歳以上になると24万円ほどと下がっています。
70歳代前半、75歳以上いずれも赤字は約3万円近くとなっており、公的年金以外での備えが必要だとわかります。