4. 《年金の落とし穴》老後の年金から引かれる4つのお金とは?

老後生活において柱となる公的年金。つい見落としてしまいがちなのが「年金からも引かれるお金がある」ということ。

給与天引きのように、国民年金や厚生年金からも、税金や社会保険料が引かれるのです。

老後の年金から引かれる4つのお金は次のとおり。

  • 所得税
  • 住民税および森林環境税
  • 国民健康保険料(75歳以上・もしくは一定の要件を満たす人:後期高齢者医療保険料)
  • 介護保険料

4.1 所得税

年金から基礎控除や公的年金等控除、介護保険料、国民健康保険料(または後期高齢者医療料)などを差し引いた金額に対して5.105%(復興所得税を含む)を乗じた金額が所得税として引かれます。

4.2 住民税および森林環境税

年間の受給額が18万円以上の場合、住民税および森林環境税が引かれます。

4.3 国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)

年間の受給額が18万円以上の場合、国民健康保険料も年金から差し引かれます。75歳以上、または65歳以上75歳未満で後期高齢者医療制度に該当する方は、後期高齢者医療保険料が引かれます。

4.4 介護保険料

年間の受給額が18万円以上の場合、介護保険料も年金から引かれます。

5. まとめにかえて 国民年金の受給額も一覧表で確認!

年収550万円の方が受け取る厚生年金(国民年金を含む)は月額約18万7700円となりました。

前述のとおり、ここから税金や社会保険料が引かれるため、手取り額は90%程度となるでしょう。

近年、社会保険料の負担は増加傾向にあります。また、少子高齢化により将来的に年金支給水準が引き下げられると考えられています。

実際に受給できる年金額は、受給開始が近づくまで確定できませんが、現時点でわかる範囲で老後の大切な収入額がどのくらいかを想定することは可能です。

また、毎年の誕生月に送付される「ねんきん定期便」でも、ご自身の年金受給見込額を把握できますので確認してみましょう。

5.1 ご参考:国民年金の受給額

【国民年金】年金月額階級ごとの受給権者数

【国民年金】年金月額階級ごとの受給権者数

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 1万円未満:5万8811人
  • 1万円以上~2万円未満:24万5852人
  • 2万円以上~3万円未満:78万8047人
  • 3万円以上~4万円未満:236万5373人
  • 4万円以上~5万円未満:431万5062人
  • 5万円以上~6万円未満:743万2768人
  • 6万円以上~7万円未満:1597万6775人
  • 7万円以上~:227万3098人

 

参考資料

和田 直子