金融庁が2005年12月13日に公表した「NISA口座の利用状況調査(令和6年12月末時点(速報値))」によると、2024年12月末時点の口座数は2560万4058口座となり、23年末時点から20.5%増加したことがわかりました。

このように新NISAやiDeCoといった制度が注目を集めていることから、周りでも新NISAやiDeCoを活用している人も増えてきたのではないでしょうか。

しかし、「思っていたのと違った」「制約が多くて使いにくい」「もっと自由に資産を動かせると思っていた」といった理由で、途中で辞めたくなる人も少なくありません。

全国の個人投資家から相談を受けてきた元銀行員の筆者も、「もっと早く知っていれば、こんなに悩まなかったのに…」という声を数多く耳にしてきました。

そこで今回は、元銀行員として企業型DCやiDeCoの講師をつとめた筆者が、実際に受講者から聞いたエピソードを交えながら、新NISAやiDeCoを途中で辞めたくなってしまう落とし穴を5つご紹介します。

1. 新NISAとiDeCoの落とし穴(その1):新NISAとiDeCoを使い分けできていなかった

新NISAのつみたて投資枠やiDeCoは、いずれも投資信託を活用する仕組みで、毎月一定額を積み立てて資産を育てていく制度です。

共通点が多い一方で、制度ごとに特徴や違いもあります。自分の資産運用の目的やライフプランに合わせて使い分けることで、資産設計をよりスムーズに進めることができます。

ここでは、具体例を2つ挙げて、その違いや使い分け方をわかりやすくご紹介します。

1.1 非課税枠の違い

【写真全6枚】手元にお金を用意したいときどうするか 後半でiDeCoの制度について図解

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出所:Tatsiana Khamitskaya/shutterstock.com

非課税枠は、新NISAとiDeCoでは異なります。

新NISAのつみたて投資枠の非課税投資枠は毎年120万円で、すべてつみたて投資枠で行った場合には、合計1800万円まで投資をすることができます。

たとえば、つみたて投資枠で毎年120万円の投資を行った場合に、15年続けると1800万円の枠を使用することができます。

一方、iDeCoは働く職場や働き方によって、月々の掛金上限額が異なります。