3. 現役世代に向けた施策の進捗

政府は非課税世帯への給付金施策を重点的に行ってきました。昨年夏ごろや一昨年にも、金額こそ違いますが同じような政策を打ち出しています。

一方で、現役世代に向けた経済施策で目立ったのは、昨年の「定額減税」のみ。実施が年1回きりだったことや仕組みの複雑さなどから、満足いく施策ではなかったと感じている人もいるでしょう。

現在、現役世代の注目を集める経済施策としては「年収の壁の引き上げ」が挙げられるでしょう。国民民主党が公約として掲げた、基礎控除や給与所得控除の控除額引き上げは、いわゆる「年収の壁問題」として、昨年秋〜末にかけて多くのシーンで取り上げられました。

こちらの施策は昨年末に自民党・公明党・国民民主党の3幹事長が「178万円への引き上げを目指す」として本年から引き上げることで合意しています。しかし、2月3日の通常国会で石破茂総理大臣が「国民に税収をお返しできるような財政状況にない。不測の事態に備えて国の財政状況を安定させる必要があるのではないか。」と答弁するなど、議論は平行線のままとなっています。

もうひとつ注目されるのが賃上げに向けた動きです。昨年は5%台の賃上げとなったものの、連合では「生活がよくなったと実感する人は少なく、賃上げの波及効果が十分でない」と分析しています。

連合は今年の春闘でも3〜5%の賃上げを目指す方針ですが、物価高によるコストの上昇や厚生年金の適用拡大による企業分の保険料負担などで、事業主としては苦しい選択を迫られそうです。

現状の物価高対策は、決して十分なものとはいえません。非課税世帯も現役世代の世帯も「生活がよくなった」と実感できる政策の実現や賃金の上昇を期待しましょう。

参考資料

石上 ユウキ