3. 2025年度の年金は増額改定。しかし実際は目減りしている?
年金額が3年連続で増加したことは一見喜ばしいことのように思えますが、単純に喜んではいけません。
「マクロ経済スライド」が3年連続で発動しており、物価の上昇率よりも年金の上昇率が低いため、実質的には年金額が減少していることになります。
総務省のデータによれば、前年の全国消費者物価指数を基にした物価上昇率は2.7%、賃金上昇率は2.3%でした。
物価の変動率が名目手取り賃金の変動率を上回る場合、現役世代の負担能力に見合った年金給付を行うために、年金の改定には名目手取り賃金の変動率が用いられます。
つまり、今年の年金改定率は2.3%になるはずでしたが、「マクロ経済スライド」の影響で、0.4%の減額調整が行われた結果、最終的な上昇率は1.9%にとどまりました。
物価上昇が続く中、限られた年金で生活を支えるシニアにとって、今回の改定は大きな影響を与える可能性があります。
とはいえ、年金額が増えることに期待を寄せる方も多いでしょう。
では、実際にその増額分が支給されるのは、いつからなのでしょうか。
4. 年金の増額改定はいつから反映される?
年金は原則として偶数月の15日に支給され、次回の年金支給月である4月に支給されるのは2月分と3月分の年金です。
つまり、2025年4月からの年金額が実際に反映されるのは、2025年6月の年金支給日からとなります。