3. 2025年4月から「年金」が1.9%の増額だが…

公的年金は加入状況によって個人差が生じるだけでなく、毎年度改定も行われます。

2025年度(令和7年度)の年金額の一例は以下の通りです。

3.1 2025年度の年金額の例(国民年金と厚生年金)

  • 国民年金(老齢基礎年金(満額)):6万9308円(1人分※1)
  • 厚生年金:23万2784円(夫婦2人分※)

※1昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額6万9108円(対前年度比+1300円)です。

※2男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。

2025年度は物価上昇の影響で年金額が増額されたものの、マクロ経済スライドの調整が適用された結果、実質的には目減りする形となりました。

来年度の年金額がどのように変動するかは不透明ですが、調整が行われることを踏まえると、物価上昇に対応できるよう老後資金をしっかり準備しておくことが重要です。

4. 老後を目指して資産運用などの計画を

今回は実際の70歳代・二人以上世帯での金融資産保有額の内訳や、公的年金の実際の受給額の分布など、シニア世代の収入と保有金融資産の状況について確認してきました。

既にリタイヤ後の世帯としてもし日々の収支に課題がある場合は、パートなどにより収入を増やすか、日々の生活費の節約をすることが重要になります。ある程度の余剰資金がある場合は、「債券運用」や「投資信託の分配金」などで不労所得を得ることも一つの方法です。

現役世代でリタイヤはまだ先という人は、やはり計画的に将来に向けた資産形成や資産運用にも取り組み、時間を味方につけて備えていく方法が第一選択でしょう。

とは言え物価高から余裕がないという世帯も多いことも考えると、まずは「家計の見直し」で日々の収支を見直すことが先決です。特に固定費や浪費の改善はすぐ結果に結びつきます。

次にお金を貯める「仕組み」を作りましょう。銀行の預貯金であっても、「自動積立定期預金」などを活用すると、お給料が入ったら自動で強制的にお金を分けておくことができます。後は残ったお金で毎月の支出を抑えるだけです。

仕組みづくりさえできてきたら、もう一段階上の仕組みづくりとして、NISAや貯蓄性保険など、銀行よりもお金が増える仕組みを取り入れることもポイントです。

どうしても日々の収支改善や貯蓄額には限界がありますので、「お金に働いてもらう」という部分が作れると、ぐっと将来資金の準備が楽になってきます。当然運用になるとリスクも伴いますので、無理のない計画を立てることも大切です。

参考資料

マネー編集部貯蓄班