5. 年金生活で猫を飼うのは無茶なのか
では、年金生活で猫などのペットを飼うことは無茶なのでしょうか。
アニコム損害保険株式会社が2023年に実施した調査によると、飼い猫に対し1年間にかける費用は平均17万円で、前年比105.3%と増加しています。
なお、一般社団法人ペットフード協会「令和5年 全国犬猫飼育実態調査」によると、1年以内飼育開始者のうち、60歳代は7.7%、70歳代は6.9%でした。
退職後にペットを迎える世帯も一定数はいることがわかりますね。
アニコム損害保険株式会社が2024年3月7日に公表した「2023最新版 ペットにかける年間支出調査」によると、猫の飼育にあたり1年間にかける費用は、平均で約17万円です。
- ケガや病気の治療費:3万6617円
- フード・おやつ:5万2328円
- サプリメント:3902円
- シャンプー・カット・トリミング料:2814円
- ペット保険料:2万8097円
- ワクチン・健康診断等の予防費:1万3864円
- ペットホテル・ペットシッター:2115円
- 日用品:1万2796円
- 洋服:268円
- ドッグランなど遊べる施設:10円
- 首輪・リード:946円
- 防災用品:1264円
- 交通費:441円
- 光熱費(飼育に伴う追加分):1万3819円
- 合計:16万9281円
もし平均通りの支出だとすると、1ヶ月あたりで約1万4000円の支出です。
つまり、毎月の支出に加えて上記の費用を毎月の年金収入でまかなえるのか、そのシミュレーションが重要になるといえます。
さらに、ペットの費用は平均通りになるとは限らないことに注意が必要です。病気やケガで受診する場合、人間のような医療保険制度がないため負担が高まります。
自分自身の医療費や介護費用とともに、身長に考える必要があるでしょう。
6. まとめにかえて
2025年度の厚生年金・国民年金の金額例が公表されました。こちらを見て、「この金額なら猫が飼えるかも」「猫を迎え入れるのは厳しいかも」など、さまざまな印象を持たれたと思います。
しかし、実際には年金額が個人で異なるという点が非常に重要です。年金以外の収入源がある、あるいは十分な老後資金があるかどうかでも左右されるでしょう。
老後に猫を飼育するには、年間で約17万円の費用が平均でかかります。年金収入でまかなえるのか、収入と支出のシミュレーションを慎重にしてみましょう。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- アニコム損害保険株式会社「2023最新版 ペットにかける年間支出調査」
- 一般社団法人ペットフード協会「令和5年 全国犬猫飼育実態調査」
太田 彩子