2025年1月24日、毎年恒例となる「2025年度の年金額の公表」が行われました。老後生活の柱となる年金額は、現役世代の方も気になるのではないでしょうか。

現役時代はがむしゃらに働いた分、「老後は猫などのペットを迎えて一緒に暮らしたい」と思い描く方もいますね。

ただし、ペットを飼うには金銭面の負担も大きく、時には20年以上にわたる責任を負うことになります。かわいいペットですが、覚悟が必要になるでしょう。

定年退職後、厚生年金や国民年金という収入で「ペットを飼う」というのは現実的なのでしょうか。

今回は、厚生年金と国民年金の受給額を確認しながら、理想の老後を迎えるために、老後の収支をシミュレーションしてみましょう。

1. 「国民年金と厚生年金」私の老後はどちらを受給できる?

日本の公的年金制度は「国民年金と厚生年金保険」の2階建て構造となっています。働き方等によって加入者が決まっており、将来の年金額も大きく異なることになります。

厚生年金と国民年金の仕組み1/6

厚生年金と国民年金の仕組み

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成

 

1.1 国民年金とは?

基礎年金とも呼ばれる「国民年金」ですが、こちらには日本に住む20歳から60歳未満のすべての人が、原則として加入します。

保険料は全員一律で、自営業や無職などの第1号被保険者が納付します。公務員や会社員などの第2号被保険者は、後述する厚生年金保険料を支払います。

なお、第2号被保険者に扶養される第3号被保険者は、保険料の納付義務がありません。

国民年金保険料の納付期間や免除期間によって、将来の年金額(老齢基礎年金額)が決まるというしくみのため、学生時代に免除を受けた人や未納期間がある人などは、年金額が少なくなります。

とはいえ、満額でも月額6万円台となっているため、大きな個人差は生まれにくいでしょう。

1.2 厚生年金保険とは?

厚生年金保険とは、国民年金加入者のうち、会社員や公務員など(パート・アルバイト従業員など特定適用事業所で働き一定要件を満たした方も含む)が加入する2階部分の年金です。

保険料は収入に応じて算出され、これを事業主を折半して納めます。年収が高いほど保険料が高くなり(上限)、その分将来の厚生年金額も多くなるでしょう。

この度、厚生労働省から2025年度の年金額が公表されました。実は1.9%の増額となる予定です。

2. 【2025年度】厚生年金と国民年金の金額例が公表

2025年1月24日、厚生労働省より2025年度の年金額が公表されました。

  • 国民年金(老齢基礎年金(満額)):6万9308円(1人分※1)
  • 厚生年金:23万2784円(夫婦2人分※)

※1昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額6万9108円(対前年度比+1300円)です。

※2男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。

注釈があるとおり、厚生年金は限定的な夫婦の試算結果です。この通りでない人も多いため、あまり参考にならないという声もあります。

そこで、厚生労働省の資料をもとに、多様なライフコースに応じた年金額も見ていきます。

3. 【2025年度】多様なライフコースに応じた年金額

厚生労働省は今年初めて、多様なライフコースに応じた年金額も公表しました。

加入状況などによる男女別の目安額は以下のとおりです。

多様なライフコースに応じた年金額3/6

多様なライフコースに応じた年金額

出所:厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」

3.1 ①厚生年金期間中心の男性のケース

年金月額:17万3457円

  • 平均厚生年金期間:39.8年
  • 平均収入:50万9000円※賞与含む月額換算。以下同じ。
  • 基礎年金:6万8671円
  • 厚生年金:10万4786円

3.2 ②国民年金(第1号被保険者)期間中心の男性のケース

年金月額:6万2344円

  • 平均厚生年金期間:7.6年
  • 平均収入:36万4000円
  • 基礎年金:4万8008円
  • 厚生年金:1万4335円

3.3 ③厚生年金期間中心の女性のケース

年金月額:13万2117円

  • 平均厚生年金期間:33.4年
  • 平均収入:35万6000円
  • 基礎年金:7万566円
  • 厚生年金:6万1551円

3.4 ④国民年金(第1号被保険者)期間中心の女性のケース

年金月額:6万636円

  • 平均厚生年金期間:6.5年
  • 平均収入:25万1000円
  • 基礎年金:5万2151円
  • 厚生年金:8485円

3.5 ⑤国民年金(第3号被保険者)期間中心の女性のケース

年金月額:7万6810円

  • 平均厚生年金期間:6.7年
  • 平均収入:26万3000円
  • 基礎年金:6万7754円
  • 厚生年金:9056円

いずれも、前年より月額1000円以上増加しています。

例えば、女性で厚生年金に加入する期間が長かったケースにおける試算(平均収入:35万6000円)では、年金月額が13万2117円となっています。

実は、厚生年金の平均額をみると女性は月額で10万7200円となっており、これを上回ることがわかります。

平均額について次章で深堀してみましょう。

4. 厚生年金と国民年金「過去に支給された平均額」

厚生労働省が2024年12月に公表した「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2023年度末時点の国民年金と厚生年金の平均年金月額は以下のとおりでした。

4.1 国民年金(老齢基礎年金)の平均受給額

国民年金の月額ごとの受給権者数4/6

国民年金の受給額平均

出所:厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

〈全体〉平均年金月額:5万7584円

  • 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万5777円

4.2 厚生年金(老齢厚生年金)の平均受給額

厚生年金の月額ごとの受給権者数5/6

厚生年金の受給額平均

出所:厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

〈全体〉平均年金月額:14万6429円

  • 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
  • 〈女性〉平均年金月額:10万7200円

※国民年金の金額を含む

厚生年金か国民年金かによって、受給額が大きく異なる様子がよくわかります。

ここまで紹介した年金額は、

  • 2025年度の年金額例
  • 多様なライフコースに応じた年金額5パターン
  • 実際に支給された年金の平均額

の3種類です。しかし、これらはあくまでもデータをもとに集計した結果であり、これを読んでいる方の年金額に当てはまるというわけではありません。

自分は年金をいくらもらえそうか?に関してはねんきん定期便やねんきんネットなどで確認できるので、ぜひチェックしてみましょう。

5. 年金生活で猫を飼うのは無茶なのか

では、年金生活で猫などのペットを飼うことは無茶なのでしょうか。

アニコム損害保険株式会社が2023年に実施した調査によると、飼い猫に対し1年間にかける費用は平均17万円で、前年比105.3%と増加しています。

なお、一般社団法人ペットフード協会「令和5年 全国犬猫飼育実態調査」によると、1年以内飼育開始者のうち、60歳代は7.7%、70歳代は6.9%でした。

退職後にペットを迎える世帯も一定数はいることがわかりますね。

アニコム損害保険株式会社が2024年3月7日に公表した「2023最新版 ペットにかける年間支出調査」によると、猫の飼育にあたり1年間にかける費用は、平均で約17万円です。

  • ケガや病気の治療費:3万6617円
  • フード・おやつ:5万2328円
  • サプリメント:3902円
  • シャンプー・カット・トリミング料:2814円
  • ペット保険料:2万8097円
  • ワクチン・健康診断等の予防費:1万3864円
  • ペットホテル・ペットシッター:2115円
  • 日用品:1万2796円
  • 洋服:268円
  • ドッグランなど遊べる施設:10円
  • 首輪・リード:946円
  • 防災用品:1264円
  • 交通費:441円
  • 光熱費(飼育に伴う追加分):1万3819円
  • 合計:16万9281円

もし平均通りの支出だとすると、1ヶ月あたりで約1万4000円の支出です。

つまり、毎月の支出に加えて上記の費用を毎月の年金収入でまかなえるのか、そのシミュレーションが重要になるといえます。

さらに、ペットの費用は平均通りになるとは限らないことに注意が必要です。病気やケガで受診する場合、人間のような医療保険制度がないため負担が高まります。

自分自身の医療費や介護費用とともに、身長に考える必要があるでしょう。

6. まとめにかえて

2025年度の厚生年金・国民年金の金額例が公表されました。こちらを見て、「この金額なら猫が飼えるかも」「猫を迎え入れるのは厳しいかも」など、さまざまな印象を持たれたと思います。

しかし、実際には年金額が個人で異なるという点が非常に重要です。年金以外の収入源がある、あるいは十分な老後資金があるかどうかでも左右されるでしょう。

老後に猫を飼育するには、年間で約17万円の費用が平均でかかります。年金収入でまかなえるのか、収入と支出のシミュレーションを慎重にしてみましょう。

参考資料

太田 彩子