「今のままで、本当に老後の生活は大丈夫か」そう思ったことはありませんか?

毎月支払っている年金保険料ですが、実際にいくら受け取れるのか、そしてそれだけで生活できるのか、意外と知らない人も多いものです。

年金には「国民年金」と「厚生年金」の2種類があり、どちらに加入できるかは職業によって決まります。

ただ、「年金だけじゃ足りない」とよく聞くのも事実。厚生労働省の調査によると、100%年金だけで暮らせている高齢者世帯は約42%。つまり、半数以上の人は年金以外の収入がないと生活が成り立たないのです。

では、実際にどれくらいの年金がもらえるのか?そして、多くの高齢者が頼りにしている「貯蓄の平均額」はどのくらいなのか?

本記事では70代のリアルな年金事情について詳しく解説します。

老後の生活に不安を感じる方は、今のうちに知っておくべきポイントです!

1. 70歳代おひとりさま世帯「金融資産の保有目的」第1位はやはり《老後の生活資金》

J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」によると、70歳代の単身世帯(※)の「金融資産を保有する目的」として上位にあがった項目は以下の通りです。

※金融資産非保有世帯を含む

  • 老後の生活資金:62.4%
  • 病気や不時の災害への備え:52.0%
  • とくに目的はないが、金融資産を保有していれば安心:19.5%
  • 旅行、レジャーの資金:17.1%
  • 遺産として子孫に残す:9.3%
  • 耐久消費財の購入資金:7.7%

この結果からわかるように、おひとりさまシニアにとって、老後の生活資金や医療・災害への備えが最も重要な目的となっています。

一方で、「特に目的はないが、持っていれば安心」と考える人も一定数おり、資産をどのように管理し、活用するかは、個々の価値観や生活状況によって異なることがうかがえます。

今回は、多くが老齢年金世代である「70歳代」のおひとりさま世帯のお金事情について考えていきます。

2. 【70歳代おひとりさま世帯】貯蓄の平均・中央値はいくら?

J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」より、70歳代おひとりさま(単身)世帯の貯蓄額を見ていきましょう。

70歳代おひとりさま(単身)世帯の貯蓄額1/8

【貯蓄額の円グラフ】70歳代・ひとり世帯

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」をもとにLIMO編集部作成

2.1 70歳代おひとりさま世帯の貯蓄額平均と中央値

  • 平均:1634万円
  • 中央値:475万円

2.2 70歳代おひとりさま世帯の貯蓄額ごとの世帯割合

70歳代・二人以上世帯「貯蓄額一覧表」(金融資産を保有していない世帯を含む)

  • 金融資産非保有:27.0%
  • 100万円未満:5.1%
  • 100~200万円未満:5.7%
  • 200~300万円未満:4.9%
  • 300~400万円未満:3.9%
  • 400~500万円未満:2.2%
  • 500~700万円未満:7.3%
  • 700~1000万円未満:5.9%
  • 1000~1500万円未満:8.9%
  • 1500~2000万円未満:4.7%
  • 2000~3000万円未満:6.1%
  • 3000万円以上:15.9%
  • 無回答:2.4%

調査結果によると、貯蓄額が2000万円以上の世帯は全体の22.0%でした。一方で、200万円以下の世帯が37.8%を占めるなど、世帯ごとの貯蓄状況には大きな差があることがわかります。

また、70歳代おひとりさま世帯の貯蓄平均1634万円、中央値は475万円となっています。平均値は一部の富裕層によって押し上げられている可能性が高く、実際の暮らしぶりをより反映しているのは、貯蓄額を小さい順に並べたときに真ん中に位置する中央値の800万円と考えられるでしょう。

このように、2000万円以上の貯蓄を持つ世帯が一定数いる一方で、200万円以下の世帯も少なくなく、シニアのおひとり様世帯の貯蓄額には大きなばらつきがあることがうかがえます。

※なお「貯蓄額200万円以下」に分類される世帯の中には、いわゆる「金融資産非保有世帯」も含まれますが、これは「運用のための資産や将来に備えた貯蓄がない」ことを指し、必ずしも預貯金がゼロというわけではありません。

3. 年金一覧表《70歳代の老齢年金》厚生年金と国民年金「年齢ごとの平均月額を1歳刻みで見る」

厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、70歳代の平均年金月額を見ていきましょう。

3.1 年金一覧表:厚生年金の平均年金月額(70歳~79歳)

年金一覧表:厚生年金の平均年金月額(70歳~79歳)2/8

70歳代の厚生年金額

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 70歳:14万4773円
  • 71歳:14万3521円
  • 72歳:14万2248円
  • 73歳:14万4251円
  • 74歳:14万7684円
  • 75歳:14万7455円
  • 76歳:14万7152円
  • 77歳:14万7070円
  • 78歳:14万9232円
  • 79歳:14万9883円

厚生年金の被保険者は第1号~第4号に区分されており、上記は民間企業などに勤めていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」で、国民年金(老齢基礎年金)の月額部分も含まれています。

3.2 年金一覧表:国民年金の平均年金月額(70歳~79歳)

年金一覧表:国民年金の平均年金月額(70歳~79歳)3/8

70歳代の国民年金額

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 70歳:5万8956円
  • 71歳:5万8569円
  • 72歳:5万8429円
  • 73歳:5万8220円
  • 74歳:5万8070円
  • 75歳:5万7973円
  • 76歳:5万7774円
  • 77歳:5万7561円
  • 78歳:5万7119円
  • 79歳:5万7078円

公的年金は2階建ての仕組みになっており、会社員や公務員などとして厚生年金に加入していた人の場合、老齢基礎年金(国民年金)に上乗せして老齢厚生年金を受け取ることができます。

一方、自営業やフリーランスなどで国民年金のみに加入していた場合、受給できるのは老齢基礎年金のみとなるため、一般的に年金額は少なくなります。

なお、年金受給額は加入していた年金の種類だけではなく、保険料の納付期間や収入によっても個人差が大きくなります。「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」を活用し、自身の年金額を定期的に確認することは、老後に向けたマネープランを立てる第一歩となるでしょう。

4. 増えるシニアのおひとりさま世帯。男性「70~74歳」、女性「85歳以上」が最多

65歳以上「高齢者世帯の世帯構造」4/8

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa23/dl/02.pdf

出所:厚生労働省「2023年 国民生活基礎調査の概況

厚生労働省「2023年 国民生活基礎調査の概況」によると、65歳以上の人がいる世帯は2695万1000世帯で、全世帯の49.5%を占めています。

このうち高齢者世帯(※)の構成を見ると「単独世帯(=おひとりさま世帯)」は855万3000世帯(高齢者世帯の51.6%)、「夫婦のみの世帯」は730万3000世帯(同44.1%)となっており、単独世帯の割合がやや上回っています。

特に単独世帯のうち女性が64.4%を占め、男性の35.6%を大きく上回っています。年齢別では、男性は「70~74歳」が27.7%、女性は「85歳以上」が24.9%で最多です。

この男女差の背景には、女性の平均寿命が男性より長いことが大きく影響していると考えられます。配偶者と死別するケースが多い女性は、必然的に単身で老後を迎える割合が高くなるため、今後も単独世帯の増加が続くと予測されます。

また、単身世帯の増加には、未婚率の上昇や結婚に対する価値観の変化、生き方の多様化、さらには長寿社会の進展なども背景として考えられるでしょう。

長生きすることは喜ばしいことですが、その一方で、単身で長い老後を過ごす可能性も高まります。資産寿命と健康寿命をバランスよくのばしていく心構えが求められていると言えそうです。

※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の未婚の者が加わった世帯

5. まとめにかえて(FPからのアドバイス)

「親の老後資金、本当に大丈夫?」 そう思ったことはありませんか?

本記事では70代の貯蓄・年金事情について解説してきましたが、たとえ平均的な年金を受給し、貯蓄があったとしても、物価上昇が続けば生活はどんどん厳しくなる可能性があります。

では、あなたの親はどうでしょうか?

お金の話は親子でもなかなかしづらいもの。でも、親の資産状況を知ることは、将来的な相続税対策にもつながります。

「どんな備えが必要か?」を知ることが、親世代にとっても自分たちにとっても、大きな安心につながるでしょう。

6. 【ご参考】年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説

年金Q&Aまとめ5/8

年金Q&A

出所:日本年金機構などをもとにLIMO編集部作成

「年金って難しそう…」と感じている人は、多いのではないでしょうか。でも、基本のポイントを押さえると、意外とシンプルなのです。ここでは、年金についてよくある疑問について、わかりやすくお答えしていきます。

6.1 年金の仕組みってどうなってるの?

公的年金の仕組みとは?6/8

画像:公的年金の仕組みとは?

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」

まず、日本の公的年金は「2階建て」構造です。下の階が「国民年金」、その上に「厚生年金」があるイメージです。

国民年金

国民年金は、20歳から60歳未満の全員が加入対象。特に自営業やフリーランスの方がメインです。

毎月決まった金額を支払います。いわば、年金の基礎部分です。

厚生年金

厚生年金は、会社員や公務員の方が加入対象です。こちらは収入に応じて保険料が変わるので、もらえる年金額も収入の影響が大きくなってきます。

そのため、個人差が出やすくなっています。

6.2 「繰下げ受給」って実際どうなの?

通常、年金は65歳からもらうものですが、「まだ働けるし、今すぐ必要じゃない」という方には「繰下げ受給」という選択肢があります。簡単に言うと、年金の受け取りを後回しにして、もらう額を増やす方法です。

繰下げ受給でもらえる増額率の一覧表7/8

ああ

出所:日本年金機構「年金の繰下げ受給」

たとえば、65歳で受け取る予定を75歳まで繰り下げると、年金額が84%も増えるんです。

もし健康で他にも収入源があるなら、繰下げ受給を検討してみる価値は十分にあるでしょう。

6.3 年金や老後資金をもっと増やすには?

繰下げ受給以外にも、年金や老後資金を増やす手段はいくつかあります。

国民年金の付加保険料を払う

自営業やフリーランスの方は、少し追加で保険料を払うことで、将来もらえる年金額をアップできます。

厚生年金に加入する

もし可能なら、厚生年金に加入するのも手です。もし国民年金だけに加入していた場合、会社員になったり、厚生年金が適用されるような働き方を選ぶと、年金額が増えます。

資産運用に挑戦

iDeCo(個人型確定拠出年金)や投資信託での資産運用も有効です。

iDeCoってどんな制度?8/8

画像:iDeCoってどんな制度?

出所:厚生労働省「iDeCoの概要」

ただし、これは場合によっては元本割れのリスクもあるので、まずはしっかり調べてからスタートするのが大事。お金の増やし方も「焦らずじっくり」がポイントです。

これで、年金の仕組みが少しクリアになったでしょうか?

ちょっとずつでも理解を深めていくと、老後への不安が少しずつ減っていきますよ。将来に向けて、一緒に準備を始めていきましょう。

参考資料

長井 祐人