2. 40年間の平均年収が500万円だった場合の老齢年金受給額

年金手帳と計算機

年金手帳と計算機

Mehaniq/shutterstock.com

では、タイトルにあるように、40年間の平均年収が500万円だった会社員は老齢年金をいくら受給できるのか、シミュレーションしていきましょう。

シミュレーション条件は以下の通りとします。

  • 2004年4月入社
  • 22歳から62歳までの40年間勤務
  • 国民年金は40年間保険料を納付

手順としては、厚生年金受給額と国民年金受給額をそれぞれ求め、合計額を出していきます。

2.1 厚生年金受給額

40年間の平均年収が500万円なので、月収に換算すると約41万6000円です。協会けんぽの「令和6年月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」より、月収41万6000円の標準報酬月額は41万円です。

厚生年金受給額は、以下の計算式で求めます。

厚生年金受給額=報酬比例年金額+経過的加算額+加給年金額

厚生年金の大部分を占めるものは報酬比例年金額であるため、ここでは経過的加算と加給年金額は省略します。

報酬比例年金額を求めるには以下の計算式を使います。

報酬比例年金額=A+B

  • A:2003年3月までの加入期間:平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの加入期間月数
  • B:2003年4月以降の加入期間:平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間月数

シミュレーション条件より、入社は2004年4月であるため、今回はBの式のみを使います。

Bの計算式に、平均標準報酬額を41万円、加入期間月数を480カ月(40年間)をあてはめると、厚生年金受給額は約107万8660円と計算できます。

計算)

厚生年金受給額=平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間月数
=41万円×5.481/1000×480カ月(40年間)=約107万8660円

2.2 国民年金受給額

次に、国民年金受給額を求めます。国民年金受給額は、保険料の納付済月数に応じて決まり、40年間納付すると満額の81万6000円(令和6年度)を受給できます。計算式は以下の通りです。

国民年金受給額=81万6000円×保険料納付済月数/480カ月

シミュレーション条件より、国民年金保険料を40年間納付済となっているため、受給額は満額の81万6000円です。

2.3 老齢年金受給額は約15万7888円

ここまでの計算結果から、厚生年金受給額は約107万8660円、国民年金受給額は81万6000円となりました。

両方を合計すると、老齢年金受給額は189万4660円と計算でき、月額に換算すると、約15万7888円になります。

冒頭でも触れたように、国民年金を含めた厚生年金受給額は平均14万6429円です。平均年収500万円の方は、平均よりも1万1000円ほど多く受給できる結果となりました。

なお、今回の結果はあくまでもシミュレーションであり、実際には異なることにご注意ください。

では、厚生年金が15万7000円ほどの場合、老後の生活費は年金だけでまかなえるのでしょうか。次章で確認していきましょう。