現役時代に、厚生年金に加入し会社員として働いてきた方は、老後に厚生年金を受給します。厚生年金受給額は、主に現役時代の年収や厚生年金への加入期間により決まり、年収が高いほど、また、加入期間が長いほど高額になるのが一般的です。

では、40年間、平均年収が500万円だった会社員の場合、老後の年金はどのくらい受給できるのでしょうか?老後の年金額を知るうえで目安となるように、シミュレーションしていきます。

1. 厚生年金の平均受給額は14万6429円

厚生労働省年金局が公表した「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金を含めた厚生年金の平均受給額は14万6429円です。1万円未満の方から30万円以上受給している方など幅広く分布していますが、平均すると14万〜15万円になります。

【写真全3枚】厚生年金:年金月額階級別老齢年金受給権者数。老後の家計収支グラフもご紹介!1/3

厚生年金:年金月額階級別老齢年金受給権者数

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

男女別では、男性が16万6606円、女性が10万7200円となっています。厚生年金は現役時代の年収や厚生年金への加入期間などにより受給額が計算され、年収が高く加入期間が長い男性の方が、高額になる傾向があります。

2. 40年間の平均年収が500万円だった場合の老齢年金受給額

年金手帳と計算機2/3

年金手帳と計算機

Mehaniq/shutterstock.com

では、タイトルにあるように、40年間の平均年収が500万円だった会社員は老齢年金をいくら受給できるのか、シミュレーションしていきましょう。

シミュレーション条件は以下の通りとします。

  • 2004年4月入社
  • 22歳から62歳までの40年間勤務
  • 国民年金は40年間保険料を納付

手順としては、厚生年金受給額と国民年金受給額をそれぞれ求め、合計額を出していきます。

2.1 厚生年金受給額

40年間の平均年収が500万円なので、月収に換算すると約41万6000円です。協会けんぽの「令和6年月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」より、月収41万6000円の標準報酬月額は41万円です。

厚生年金受給額は、以下の計算式で求めます。

厚生年金受給額=報酬比例年金額+経過的加算額+加給年金額

厚生年金の大部分を占めるものは報酬比例年金額であるため、ここでは経過的加算と加給年金額は省略します。

報酬比例年金額を求めるには以下の計算式を使います。

報酬比例年金額=A+B

  • A:2003年3月までの加入期間:平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの加入期間月数
  • B:2003年4月以降の加入期間:平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間月数

シミュレーション条件より、入社は2004年4月であるため、今回はBの式のみを使います。

Bの計算式に、平均標準報酬額を41万円、加入期間月数を480カ月(40年間)をあてはめると、厚生年金受給額は約107万8660円と計算できます。

計算)

厚生年金受給額=平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間月数
=41万円×5.481/1000×480カ月(40年間)=約107万8660円

2.2 国民年金受給額

次に、国民年金受給額を求めます。国民年金受給額は、保険料の納付済月数に応じて決まり、40年間納付すると満額の81万6000円(令和6年度)を受給できます。計算式は以下の通りです。

国民年金受給額=81万6000円×保険料納付済月数/480カ月

シミュレーション条件より、国民年金保険料を40年間納付済となっているため、受給額は満額の81万6000円です。

2.3 老齢年金受給額は約15万7888円

ここまでの計算結果から、厚生年金受給額は約107万8660円、国民年金受給額は81万6000円となりました。

両方を合計すると、老齢年金受給額は189万4660円と計算でき、月額に換算すると、約15万7888円になります。

冒頭でも触れたように、国民年金を含めた厚生年金受給額は平均14万6429円です。平均年収500万円の方は、平均よりも1万1000円ほど多く受給できる結果となりました。

なお、今回の結果はあくまでもシミュレーションであり、実際には異なることにご注意ください。

では、厚生年金が15万7000円ほどの場合、老後の生活費は年金だけでまかなえるのでしょうか。次章で確認していきましょう。

3. 老後の生活費は老齢年金だけでまかなえる?

総務省統計局の「家計調査報告 家計収支 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上世帯の毎月の消費支出は、二人以上世帯で25万959円、単身世帯で14万5430円です。

65歳以上無職世帯の家計収支グラフ(夫婦・単身)3/3

65歳以上無職世帯の家計収支グラフ(夫婦・単身)

出所:総務省統計局「家計調査報告 家計収支 2023年(令和5年)平均結果の概要」


前章のシミュレーションより、年収500万円の場合の年金受給額は月額約15万7000円であるため、夫婦共働きであった世帯なら年金だけで生活費をまかなえる可能性があります。

しかし、一方が専業主婦(主夫)の場合は国民年金の受給となり、満額でも6万8000円となるため、合計で22万5000円(15万7000円+6万8000円)で、3万円弱ほど不足する計算です。

また、単身世帯では毎月の消費支出が14万5430円なので、年金を月額約15万7000円受給できれば生活費をカバーできる可能性があります。ただし自営業の場合は最高でも6万8000円となるため、大幅に不足する可能性が高いです。

4. まとめにかえて

平均年収500万円の方は、年金を月額約15万7000円受給できる結果となりました。これは平均年金受給額の約14万6000円よりも、1万円強多くなっています。

しかし、年金だけで老後の生活費をまかなえるかどうかは世帯により異なるため、年金以外の方法でも老後資金を準備しておく必要があるでしょう。毎月の給与から一定金額を預貯金に回したり、NISAやiDeCoといった制度を活用して資産形成したりする方法があります。

ご自身に合った方法を見つけて、早めに準備を始めることをおすすめします。

参考資料