3. おひとりさまの老後は年金だけで生活できる?

おひとりさまが貯蓄を考えていくうえで、老後の生活費を年金だけでカバーできるのかを知る必要があります。

年金は平均いくら受給できるのか、また、老後の生活費は平均いくらかかるのかを確認していきましょう。

厚生労働省年金局の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢年金の平均受給額は、厚生年金が14万6429円(国民年金を含む)、国民年金が5万7584円です。

男女別に見ると以下のようになっています。

厚生年金・国民年金の平均受給額(月額)

厚生年金・国民年金の平均受給額(月額)

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに筆者作成

厚生年金は男性の方が女性よりも6万円多く受給しています。厚生年金は、現役時代の年収や厚生年金への加入期間などにより受給額が異なるため、年収が高く加入期間が長い男性の方が高額になる傾向があります。

国民年金は男女ともに同程度の受給額となっています。

では、おひとりさまの老後の生活費はどのくらいかかるのか、総務省統計局の「家計調査報告 家計収支 2023年(令和5年)平均結果の概要」をもとに確認していきましょう。

65歳以上単身世帯の消費支出は、1カ月あたり平均14万5430円かかる結果となっています。

上表の平均年金受給額から考えると、年金だけで生活できるのは、厚生年金を受給している男性だけとなります。厚生年金を受給している女性や国民年金受給者は、年金だけで生活するのは難しい方が多いといえるでしょう。

もちろん、年金受給額は人により異なるため、性別だけではっきり分かれるものではありませんが、年金だけでは生活できない方が多いという認識を持つ必要はあるでしょう。

4. まとめにかえて

40歳代から70歳代までのおひとりさまの貯蓄額は、平均値と中央値がかけ離れており、貯蓄がある方と少ない方との差が生じていることがわかりました。

65歳以降にかかる生活費を考えると、公的年金だけで生活していくことは難しいケースが多いため、できるだけ貯蓄額を多く準備しておけるのが理想です。

生活費に無理のないように、預貯金やNISA、iDeCoなどの制度を活用して資産形成を考えてみましょう。

参考資料

木内 菜穂子