2024年の年金財政検証を基に、年金制度の改正が議論されています。
会社員として長年勤務している人の中には、40年間会社で働くとどれくらいの年金がもらえるか気になる人もいるでしょう。
本記事では、年収約600万円で40年間勤めると年金がいくらもらえるかについて解説します。
給与から天引きされる保険料の総額も紹介しますので、老後に必要となる年金制度について考えるきっかけとしてみてください。
1. 老齢年金の受給額の計算
老齢年金には、老齢基礎年金と老齢厚生年金の2種類があります。
老齢厚生年金は、会社員や公務員など厚生年金加入者に支給される年金です。
老齢基礎年金は、国民年金加入者を含め年金制度に加入するすべての国民に支給されます。
厚生年金加入者は、老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を受給できます。それぞれの受給額の計算方法を見ていきましょう。
1.1 老齢基礎年金の計算方法
老齢基礎年金の受給額は、20歳から60歳までの保険料納付済月数によって計算します。計算式は次の通りです。
- 受給額=81万6000円(2024年度、毎年更改)✕保険料納付済月数/480ヶ月
20歳から60歳まで漏れなく保険料を納付した場合、受給額は81万6000円です。
1.2 老齢厚生年金の計算方法
老齢厚生年金の年金額は、次の通り計算します。2003年3月以前(賞与に厚生年金保険料がかからなかった期間)の厚生年金加入期間に対する受給額は、計算方法が少し異なります。
- 受給額=平均標準報酬額(※)✕5.481/1000✕厚生年金の加入月数
※平均標準報酬額は、厚生年金加入中の標準報酬月額と標準賞与額の総額を厚生年金加入月数で割った金額です。標準報酬月額と月給、標準賞与額とボーナスは少し異なりますが、平均標準報酬額は、厚生年金加入中の平均年収のおおよそ1/12です。
ここまで、老齢基礎年金と老齢厚生年金の計算方法について解説しました。次章では、年収約600万円で40年間勤めた場合の年金額と保険料の総額を紹介します。
2. 年収約600万円で40年間勤めたときの厚生年金受給額
年収約600万円で40年間勤めた場合、受給額がいくらになるかシミュレーションしてみましょう。
まず、老齢基礎年金と老齢厚生年金それぞれについて計算します。
老齢基礎年金の受給額は、前述の計算式に当てはめると次の通りです。20歳から60歳まで厚生年金に加入したものとします。
- 受給額=81万6000円✕480ヶ月/480ヶ月=81万6000円
大学生のときに保険料の納付猶予を受けて追納していない期間がある場合、受給額は上記金額より少し少なくなります。
老齢厚生年金の受給額は次の通りです。
2003年4月以降に厚生年金に加入したものとします。また、平均標準報酬額は50万円(=年収600万円÷12ヶ月)と仮定して概算します。
- 受給額=50万円✕5.481/1000✕480ヶ月=131万5440円
老齢基礎年金と老齢厚生年金を合計すると、受給額は213万1440円(月額約17万8000円)です。
65歳以上の受給権者の平均受給額と比較すると、受給額は高めと言えます。「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、現シニアの平均受給額は次の通りです。
2.1 厚生年金(老齢厚生年金)の平均受給額
〈全体〉平均年金月額:14万6429円
- 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
- 〈女性〉平均年金月額:10万7200円
※国民年金の金額を含む
3. 年収約600万円で40年間勤めたときの保険料総額
厚生年金の保険料は労使折半で負担し、従業員負担分は次の通り計算します。
- 保険料(月額)=標準報酬月額(または標準賞与額)×保険料率×1/2
厚生年金保険の保険料率は、段階的に引き上げられており2017年9月以降は18.3%で固定されています。
40年間、標準報酬月額が50万円で保険料率は18.3%であったと仮定して計算すると、保険料総額は次の通りです。
- 保険料総額=50万円×18.3%×1/2×480ヶ月=2196万円
2000万円を超える高額な保険料を支払うことになりますが、老齢年金の受給額が年間213万1440円とすれば、10年と少し受給すれば元は取れます。
65歳に受給開始して85歳まで受給すると、保険料総額の2倍近い年金を受給できることになります。
4. まとめにかえて
一定の前提で試算すると、年収約600万円で40年間勤めた人の老齢年金の受給額と保険料総額は次の通りです。
- 老齢年金の年間受給額:213万1440円(月額約17万8000円)
- 保険料総額:2196万円
年収が高い人や厚生年金の加入期間が長い人ほど多くの保険料を負担しなければなりませんが、その代わりに老齢年金の受給額も多くなります。
人生100年時代に向け、しっかりと働いて保険料を納め、多くの年金を受給するのも選択肢のひとつでしょう。




