5月は、6月支給分から反映される年金額改定に注目が集まる時期です。
物価上昇が続くなか、「年金だけで生活できるのか不安」「少しでも受け取れる支援制度を知りたい」と感じるシニア世帯も多いでしょう。
特に年金で生活されている方にとって、少しでも暮らしの足しになる制度は知っておきたいものですよね。
そこで注目したいのが「年金生活者支援給付金」です。
これは、公的年金に加えて受け取れる可能性がある給付金で、所得などの条件を満たす方が対象となります。
この記事では、ご自身が対象になるのか、いくら受け取れるのか、そしてどのような手続きが必要なのか、最新の情報を交えながら、一つひとつ丁寧に解説していきます。
1. 年金生活者支援給付金の基本を解説
年金を受給している方々の生活を支援するため、2019年に年金生活者支援給付金制度が始まりました。
この制度は、受給要件を満たす対象者に対し、2カ月に1度、公的年金の支給日に合わせて給付金を支給するものです。
年金生活者支援給付金は3種類に分かれており、受給している基礎年金に応じて「老齢年金生活者支援給付金」「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」が設定されています。
それぞれの所得要件などを満たした基礎年金の受給者が、この給付金の対象となります。
2. 年金生活者支援給付金を受け取るための条件とは?
ここでは、年金生活者支援給付金を受け取るための具体的な支給要件について、詳しく見ていきましょう。
2.1 障害・遺族年金生活者支援給付金の対象者
「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」は、それぞれ障害基礎年金または遺族基礎年金を受給していることが前提です。
加えて、前年の所得が479万4000円以下であることが条件となります。
ここで重要なのは、所得の計算に障害年金や遺族年金といった非課税収入は含まれないという点です。
また、扶養親族の人数に応じて所得の基準額が引き上げられることも覚えておくとよいでしょう。
2.2 老齢年金生活者支援給付金の対象者
一方で、老齢年金生活者支援給付金の対象となるには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 65歳以上で老齢基礎年金の受給者であること
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税であること
- 前年の公的年金などの収入金額と、給与所得や利子所得といったその他の所得との合計額が、昭和31年4月2日以降に生まれた方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれた方は80万6700円以下であること
老齢年金生活者支援給付金の場合、本人の所得だけでなく世帯全体の状況も要件に含まれる点に注意が必要です。こちらの判定においても、障害年金や遺族年金などの非課税収入は含まれません。
さらに、基準額をわずかに超えることで給付対象外となる方との公平性を保つため、「補足的老齢年金生活者支援給付金」という制度も設けられています。
この補足的給付金の対象は、「昭和31年4月2日以降に生まれた方で所得合計額が80万9000円を超え90万9000円以下の方」、または「昭和31年4月1日以前に生まれた方で所得合計額が80万6700円を超え90万6700円以下の方」です。
3. 【データで見る】年金生活者支援給付金の支給額と件数
厚生労働省が公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を基に、実際に支給されている年金生活者支援給付金の平均月額を確認してみましょう。
2025年3月時点でのデータによると、平均給付月額は老齢年金生活者支援給付金が4146円、障害年金生活者支援給付金が5727円、遺族年金生活者支援給付金が5228円となっています。
※この金額は2025年3月時点で認定されている平均給付額です。
給付金額ごとの給付件数は、以下の通りです。
3.1 老齢年金生活者支援給付金:給付額ごとの件数
- 1000円未満:7万5101件
- 1000円以上2000円未満:31万4450件
- 2000円以上3000円未満:59万9166件
- 3000円以上4000円未満:108万2177件
- 4000円以上5000円未満:103万4357件
- 5000円以上6000円未満:104万5423件
- 6000円以上7000円未満:18万5291件
- 7000円以上8000円未満:9万3265件
- 8000円以上9000円未満:4万4796件
- 9000円以上1万円未満:1万9891件
- 1万円以上:1万524件
3.2 障害年金生活者支援給付金:給付額ごとの件数
- 5000円以上6000円未満:149万3700件
- 6000円以上7000円未満:68万3466件
3.3 遺族年金生活者支援給付金:給付額ごとの件数
- 1000円未満:ー
- 1000円以上2000円未満:607件
- 2000円以上3000円未満:1569件
- 3000円以上4000円未満:ー
- 4000円以上5000円未満:ー
- 5000円以上:7万5531件
4. 年金生活者支援給付金の申請手続きについて
この章では、年金生活者支援給付金を受け取るための請求手続きについて解説します。
すでに公的年金を受給している方の中で、新たに給付金の支給対象となった場合には、日本年金機構から請求書を兼ねたお知らせが郵送されます。
4.1 すでに基礎年金を受け取っている場合の手続き
- 毎年9月の第1営業日以降、「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送されます。
- 2025年1月以降に65歳になり、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が届いた方は、電子申請も利用可能です。
- 電子申請を利用しない場合は、請求書に必要事項を記入し、切手を貼ってポストへ投函します。
なお、支給要件に該当するかどうかの確認が取れない方には、「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」と「所得状況届」が送付されます。
次に、年金自体をこれから請求する場合の流れを見てみましょう。
4.2 これから老齢基礎年金を請求する場合の手続き
- 65歳になる3カ月前に、年金の受給手続きに必要な「年金請求書(事前送付用)」に給付金の請求書が同封されて届きます。
- 必要事項を記入した後、受給開始年齢の誕生日の前日以降に、年金の請求書とあわせて年金事務所へ提出します。
※障害年金や遺族年金の生活者支援給付金の対象者で、初めて基礎年金を請求する方は、給付金の請求書が自動では郵送されません。年金の請求手続きと同時に、ご自身で年金事務所や市区町村の窓口にて給付金の請求手続きを行う必要があります。
4.3 給付金はいつ支給されるのか?
年金生活者支援給付金は、公的年金と同様に偶数月の15日に支払われます。もし15日が土日や祝日にあたる場合は、その直前の金融機関営業日に前倒しで支給されます。
例えば、10月に支給されるのは8月分と9月分の2カ月分です。
振込先は年金を受け取っている口座と同じですが、通帳には年金と給付金がそれぞれ別の項目として記録されます。
5. データで見るシニア世帯の収入源:公的年金への依存度
年金収入だけで生活している高齢者世帯は、実はそれほど多くありません。
厚生労働省が公表した「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、収入の100%が公的年金・恩給である世帯は43.4%でした。
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯:43.4%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が80~100%未満の世帯:16.4%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満の世帯:15.2%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満の世帯:12.9%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~40%未満の世帯:8.2%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満の世帯:4.0%
このデータから、残りの56.6%の高齢者世帯は、公的年金や恩給以外の所得で生活費をまかなっていることがわかります。
公的年金だけで生活するのが難しい可能性も考慮に入れて、老後の生活設計を立てていくことが大切だといえるでしょう。
6. まとめ|年金に上乗せされる給付制度、対象者は早めの確認を
今回は、年金生活をサポートする「年金生活者支援給付金」について、その仕組みや対象者、手続きの流れなどを詳しく見てきました。
この給付金は、老齢・障害・遺族の3つの基礎年金受給者で、所得や世帯の状況といった一定の要件を満たす場合に、年金に上乗せして支給される大切な制度です。
ご自身が対象になるかどうかの判断は少し複雑に感じるかもしれませんが、対象となる可能性のある方には日本年金機構から案内が届く仕組みになっています。
もし案内が届いたら、忘れずに手続きを進めることが重要です。
この記事を読んで、ご自身の状況と照らし合わせてみてはいかがでしょうか。
もし不明な点があれば、給付金専用ダイヤルや最寄りの年金事務所に相談してみるのも一つの方法です。
参考資料
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
- 日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
- 厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「『年金生活者支援給付金請求書』 の提出をお願いします!」
- 日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ」
- 厚生労働省「Ⅱ 各種世帯の所得等の状況」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度 特設サイト」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金制度について」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金の概要」
- 厚生労働省「用 語 の 説 明」
LIMO編集部