「年が明けたことで短期労働の契約が終了し収入が激減した」「病気がちで満足に働けず収入を得られず生活に困っている」といった人は、自治体や福祉事務所に申請すれば生活保護を受給できる可能性があります。

生活保護は生活費や住居費、教育費などさまざまなお金に対して扶助が受けられる制度です。このうち、生活扶助については現在「特例加算」として通常の金額に月額1000円が上乗せされています。

2025年度から、この特例加算はさらに500円が上乗せされる予定です。合計で月額1500円の上乗せは、2年間続くとされています。この記事では、生活保護や生活扶助の仕組み、扶助費の上乗せについて解説します。

1. 生活保護の仕組み

生活保護は、生活に困窮する人へ必要な扶助支援をし、健康で文化的な最低限度の生活の保障と自立した生活を助長する制度です。

生活費や住居費など、以下のようにさまざまな費用が支給されます。

【写真全3枚中1枚目】生活保護8つの扶助。2枚目以降で、生活保護の受給要件や生活扶助の基準額算出方法を確認する

生活保護8つの扶助

出所:厚生労働省「生活保護制度」をもとに筆者作成

  • 生活扶助:日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱費等)
  • 住宅扶助:アパート等の家賃
  • 教育扶助:義務教育を受けるために必要な学用品費
  • 医療扶助:医療サービスの費用
  • 介護扶助:介護サービスの費用
  • 出産扶助:出産費用
  • 生業扶助:就労に必要な技能の修得等にかかる費用
  • 葬祭扶助:葬祭費用

また、受給の要件は以下をすべて満たす必要があります。

【生活保護】受給要件

【生活保護】受給要件

出所:厚生労働省「生活保護制度」をもとに筆者作成

  • 資産の活用:預貯金や生活に利用されていない土地・家屋などがあれば売却して生活費に充てること。
  • 能力の活用:働ける場合は、能力に応じて労働すること。
  • あらゆるものの活用:年金や手当など他の制度で給付を受けられる際は、それらを優先して活用すること。
  • 扶養義務者の扶養:親族などから援助を受けられる際は、援助を受けること。それでもなお収入が最低生活費に満たない場合は、保護を適用する。

不動産や車などの資産はすべて売却しなければなりません。また、年金や手当、親族からの援助を受けられるのであれば、扶助よりもそちらが優先されます。加えて、働ける状況にある場合は、労働して収入を得る必要があります。