3. 特例加算の上乗せは今後も続く?
特例加算の500円上乗せは、2025〜2026年度の2年間のみで臨時措置とされています。しかし、経済状況によっては、2027年度から再度上乗せするケースも考えられるでしょう。
2025年度の予算案によれば、生活保護費負担金予算は2027年度以降も再度経済・社会情勢の動向を見極めたうえで、金額等を見直すとしています。よって、特例加算についても2027年度までに再度見直される可能性が高いでしょう。
また、5年に1度行っている生活保護費の定期検証についても、本来2027年度に次回の検証を行うところ、1年前倒しして2026年度内に検証をすると明言しています。
一方、2025年度の予算額は2兆8235億円と、前年度に比べ101億円減少しています。政府予算の膨張が懸念されるなかで、前年度から予算を削減している点は、今後の費用見直しにも影響する可能性があるでしょう。経済状況を考慮した適切な扶助額や予算額になることが望まれます。
4. まとめ
生活保護のなかでも重要な扶助である生活扶助が上乗せされることで、日常支出が多少楽になる可能性があります。ただし、生活保護受給者は医療費や介護費といった費用の負担がないため、生活費のさらなる上乗せはほかの低所得者の不満を呼ぶ可能性もあるでしょう。
予算の審議は1月のうちに招集される通常国会で行われます。生活保護の費用が今後どうなっていくのか、注視していく必要があるでしょう。
参考資料
- 厚生労働省「生活保護制度」
- 厚生労働省「生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和5年10月)」
- 厚生労働省「生活保護法による保護の基準」
- 厚生労働省「福岡大臣会見概要(財務大臣折衝後)」
- 総務省統計局「2020年基準 消費者物価指数 全国 2024年(令和6年)11月分(2024年12月20日公表)」
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和6年10月分結果確報」
- 財務省「令和7年度社会保障関係予算のポイント」
石上 ユウキ