筆者は、個人向けに資産形成についてのコンサルティング業務を行っていますが、昨今の物価高騰の波を受け、生活に余裕がなくなってきたというご相談を受ける機会が増えてきました。

こういった状況を乗り切るための施策として、低所得世帯に対し、3万円の給付金が支給されることになりました。

これまでも何度かあった低所得世帯への給付金ですが、支給の対象として挙げられるのが「住民税非課税世帯」です。

こうした世帯に対しては、自治体独自で支援を拡大するケースもあります。

今回は住民税非課税世帯の対象条件や、自治体独自の支援の例4選を見ていきます。

※申請方法や締め切り日は自治体により異なります。お住まいの自治体のホームページなどで最新の正しい情報をご確認ください。

1. 住民税非課税世帯に対し「3万円給付」が決定

住民税非課税世帯を対象として、1世帯あたり3万円が給付されることになりました。対象となる児童がいる場合、1人当たり2万円が加算されます。

給付金の対象として度々あがるのが「住民税非課税世帯」です。どのようなケースにおいて非課税世帯となるのでしょうか。

2. 「住民税非課税世帯」どんな人があてはまる?

「住民税非課税世帯」とは、文字通り「住民税」が「非課税=かからない」「世帯」です。

そもそも住民税は、前年の所得をもとに決まります。所得が0円ならば非課税(=住民税が0円)となるほか、所得が一定以下だった場合も当てはまります。

所得要件は自治体によって異なることもありますが、単身世帯ではおおむね「所得45万円」が一つの目安となるでしょう。

一例として、東京23区内の例を見ていきます。

2.1 「住民税非課税世帯」に該当する条件(東京都23区内)

(1) 生活保護法による生活扶助を受けている方
 
(2) 障害者・未成年者・寡婦又は寡夫で、前年中の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4000円未満)の方
 
(3) 前年中の合計所得金額が下記の方

  • 同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合:35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下
  • 同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合:45万円以下

生活保護を受けている人のほか、例えば単身世帯では目安所得が45万円以下となっています。

2.2 「目安所得が45万円以下」年収換算だといくら?

港区における住民税非課税世帯の年収条件2/6

港区における住民税非課税世帯の年収条件

出所:港区「住民税(特別区民税・都民税)はどういう場合に非課税になりますか。」

また東京都港区は、収入の種類ごとに、住民税非課税世帯に該当する年収を以下のように提示しています。

  • アルバイトやパートの給与収入が100万円以下
  • 65歳以上で年金受給のみの人は、年金収入が155万円以下
  • 65歳未満で年金受給のみの人は、年金収入が105万円以下
  • 不動産収入等所得がある人は、収入から必要経費を引き、合計所得が45万円以下(令和2年度まで35万円以下)

「所得45万円以下」とはいえ、収入の種類によって年収目安が異なることがわかります。

アルバイトやパートの「給与収入」の場合、住民税非課税となる年収目安は100万円以下です。一方「年金収入」の場合は65歳以上で155万円以下、65歳未満で105万円以下となっていますね。

年金収入のほうが、住民税非課税世帯となる目安額が高くなっています。

次章では、独自で低所得世帯の支援をする自治体の例を見ていきましょう。

3. 【独自】低所得世帯への支援をする自治体の例4選

住民税非課税世帯への3万円給付が決定し、全国各地で支給準備が進められています。

中には自治体独自で支援する施策もあるため、ここでは4例をご紹介します。

3.1 均等割のみ課税世帯も独自に拡大する例

東大阪市においては、令和6年度住民税非課税世帯のみでなく、「令和6年度住民税均等割のみ課税世帯」に対しても給付金を支給することが決まっています。

住民税非課税世帯へは2月21日(金曜日)以降、住民税均等割のみ課税世帯へは3月中旬以降の支給を予定しているとのことです。

3.2 灯油購入費助成金6000円を上乗せして支給する例

秋田県湯沢市では、3万円給付の対象となる世帯に対し、灯油購入費助成金6000円を上乗せして支給するとしています。

2025年1月中旬に確認書を郵送する予定としています。

3.3 暖房費の一部として現金2万円を支給する例

北海道紋別市では、住民税非課税世帯を対象として、暖房費の一部を助成します。

1世帯あたり2万円を口座振込にて支給するというもので、受付期間は1月31日までと迫っています。

3.4 低所得のひとり親世帯に支給する例

石川県金沢市では、低所得のひとり親世帯の生活を支援するため、緊急支援給付金を支給する方針です。

児童扶養手当受給世帯のうち、住民税非課税世帯等緊急支援給付金の対象とならない世帯が対象になるとのこと。

1月の緊急議会にあげられ、3月上旬から順次支給するとのことです。

国の給付内容と同じく、1世帯当たり3万円、児童1人当たり2万円が加算されます。

ここまで4つの例について確認しましたが、他にも独自での支援を検討している自治体はあるでしょう。

国の給付金をベースとして独自に拡大するケースや、全く独自の支援を行うケースもあります。

スケジュールや申請の有無なども異なるため、自治体HPなどでこまめにチェックしておきたいですね。

4. 一時的な支援に頼るだけではなく「自助努力」を考えよう

今回は、「住民税非課税世帯」に関して解説してきました。

給付金施策は生活の足しになるものですが、永久的に続くものではありません。

給付金施策に頼るだけでなく、物価高の対策を続けていきましょう。例えば物価上昇に耐えられるように、現預金とは違う方法を考えていくことも有効です。

今はNISAなどの資産運用を活用する方法も人気ですが、銀行預金とは異なり預けた元本が減るリスクもあります。

しっかりと情報収集をして、自分に合う方法を取り入れていきましょう。

5. 【住民税非課税世帯に関するデータ】※編集部よりご参考

記事内容に関連し、住民税非課税世帯に関するデータや各種施策についてまとめました。

5.1 【年代別】住民税非課税世帯の割合を確認(2022年と2023年で比較)

厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、年代別における住民税非課税世帯の割合は下記のとおりです。

年代別:住民税非課税世帯の割合5/6

年代別:住民税非課税世帯の割合

出所:厚生労働省「令和4年国民生活基礎調査」・「令和5年 国民生活基礎調査」をもとにLIMO編集部作成

  • 29歳以下:2022年29.7%→2023年32.7%
  • 30~39歳:2022年9.2%→2023年11.9%
  • 40~49歳:2022年9.2%→2023年10.0%
  • 50~59歳:2022年11.3%→2023年13.5%
  • 60~69歳:2022年19.2%→2023年21.6%
  • 70~79歳:2022年34.9%→2023年35.8%
  • 80歳以上:2022年44.7%→2023年52.5%
  • 65歳以上:2022年35.0%→2023年38.1%
  • 75歳以上:2022年42.5%→2023年49.0%

2023年における住民税非課税世帯の割合は、30~50歳代の現役世代で約10~13%にとどまっていますが、60歳代以降ではこの割合が増加し、80歳代では2世帯に1世帯が住民税非課税世帯となっています。

65歳以上の老齢年金受給者では、38.1%が住民税非課税世帯に該当し、年金受給者の約4割が、住民税非課税世帯の対象となっていることがわかります。

5.2 住民税非課税世帯を対象とした優遇措置5つ

臨時の給付金支給として、住民税非課税世帯に対する経済対策が図られていますが、これ以外にもさまざまな優遇措置があります。

【一覧表】住民税非課税世帯への優遇措置6/6

【一覧表】住民税非課税世帯への優遇措置

出所:各種資料をもとにLIMO編集部にて作成

上記は一例です。また、自治体が独自で優遇措置を設けるケースもありますので、お住まいの自治体ホームページ等でご確認ください。

参考資料