2. 平均年収500万円・勤続40年の人の年金受給月額はいくら?
平均年収500万円・勤続40年の人を例に、年金の受給月額を試算します。各種条件は以下のとおりです。
- 大学卒業後の2003年4月に22歳で入社、以後62歳になるまで働く。(休職・転職なし)
- 平均年収は20代が350万円、30代が450万円、40代が550万円、50代が650万円、60代が350万円。
- 平均標準報酬額は、各年代ごと(20歳代・30歳代・40歳代・50歳代・60歳代)に算出する。
- 賞与はないものとする。
厚生年金の大部分を占めるのは「報酬比例部分」と呼ばれます。報酬比例部分の計算式は、以下のとおりです。
報酬比例部分=A+B
- A(2003年3月までの加入期間):平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの加入期間月数
- B(2003年4月以降の加入期間):平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間月数
今回は2003年4月に入社という条件のもと試算するため、Bの式のみを利用して計算していきます。
また、この試算では平均標準報酬額を各年代で算出していきます。平均標準報酬月額を求めるには、報酬月額を32区分に分けた標準報酬を用います。たとえば、報酬月額35万円であれば、標準報酬月額は22等級の36万円です。
では、実際に年金受給月額を試算していきましょう。はじめに、各年代での平均標準報酬額を求めます。
この試算では賞与がないものとしているため、標準報酬月額がそのまま平均標準報酬額となります。それぞれの年代の平均標準報酬額は、以下のとおりです。
- 22〜29歳:(350万円×8年)÷96ヶ月=29万1667円≒標準報酬月額30万円
平均標準報酬額=30万円 - 30〜39歳:(450万円×10年)÷120ヶ月=37万5000円≒標準報酬月額38万円
平均標準報酬額=38万円 - 40〜49歳:(550万円×10年)÷120ヶ月=45万8333円≒標準報酬月額47万円
平均標準報酬額=47万円 - 50〜59歳:(650万円×10年)÷120ヶ月=54万1667円≒標準報酬月額53万円
平均標準報酬額=53万円 - 60・61歳:(350万円×2年)÷24ヶ月=29万1667円≒標準報酬月額30万円
平均標準報酬額=30万円
では、平均標準報酬額を式に当てはめて、報酬比例部分を計算していきます。結果は以下のとおりです。
- 22〜29歳:30万円×5.481/1000×96ヶ月=15万7853円
- 30〜39歳:38万円×5.481/1000×120ヶ月=24万9934円
- 40〜49歳:47万円×5.481/1000×120ヶ月=30万9128円
- 50〜59歳:53万円×5.481/1000×120ヶ月=34万8592円
- 60・61歳:30万円×5.481/1000×24ヶ月=3万9463円
老齢厚生年金(基礎年金除く部分)の年間受給額は、上記の報酬比例部分の合計です。合計金額は110万4970円であり、月額換算すると9万2081円となります。
会社員は厚生年金に加えて、基礎年金も受給します。今年度の基礎年金の満額は6万8000円ですから、合計は以下のとおりです。
- 9万2081円+6万8000円=16万81円
よって、生涯平均年収500万円の人のおおよその年金受給月額は、16万81円となります。
年収500万円の人の年金受給額は、前述した全体の年金平均受給額である14万3973円を上回っています。では、この金額で生活にゆとりが持てるのか、次章で確かめていきましょう。