4. 「住民税課税世帯」の割合を年代別に見る
厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」のデータから、年代別の住民税「課税世帯」の割合を見ていきます。
このデータには「不明な世帯」が一定数含まれているものの、住民税が「課税」または「非課税」である世帯の年代ごとの傾向を把握する手がかりにはなるでしょう。
各年代における住民税課税世帯の割合は以下の通りです。
- 30歳代:88.0%
- 40歳代:90.0%
- 50歳代:86.4%
- 60歳代:78.3%
- 70歳代:64.1%
- 80歳代:47.5%
- 65歳以上:61.9%
- 75歳以上:50.9%
注1:全世帯数には、非課税世帯及び課税の有無不詳の世帯が含まれます。
注2:総数には、年齢不詳の世帯が含まれます。
注3:住民税課税世帯には、住民税額不詳の世帯を含む。
40歳代を境に、年齢が上がるにつれて住民税を払っている世帯の割合が減少しています。このことから、年を重ねるほど住民税非課税世帯が増えると考えられます。
高齢者世帯の主な収入源は公的年金です。収入が少ないことで住民税の課税基準を下回り、非課税となるケースが多いのが実情です。さらに、公的年金には給与収入よりも大きな控除が適用されるうえ、遺族年金や障害年金は非課税となるため、高齢者世帯が非課税世帯になりやすい背景があるといえます。
ただし、住民税が非課税になる条件には「資産額」が含まれない点には注意が必要です。そのため、年金収入が基準内であれば、多額の資産を持っていても給付金の対象となる場合があります。
この仕組みが公平性について議論を呼ぶこともありますが、そこはさておき。こうした背景を踏まえると、シニア世代の貯蓄状況も気になるところです。
次では、金融広報中央委員会が発表したデータをもとに、70歳代世帯の貯蓄事情に関するデータを見ていきましょう。
5. 70歳代の平均貯蓄額はどのくらい?
「いまどきのシニア世帯は、どの程度の貯蓄を持っているのだろう」と気になる方も多いのではないでしょうか。
金融広報中央委員会の「令和5年 家計の金融行動に関する世論調査」から、70歳代の世帯の貯蓄事情について見ていきます。単身世帯および二人以上の世帯に分けて、平均・中央値および貯蓄額分布を確認しましょう。(金額等は執筆時点での情報にもとづいています。)
※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
5.1 70歳代の単身世帯の貯蓄一覧
- 金融資産非保有:26.7%
- 100万円未満:5.8%
- 100~200万円未満:4.3%
- 200~300万円未満:4.1%
- 300~400万円未満:3.3%
- 400~500万円未満:2.5%
- 500~700万円未満:6.6%
- 700~1000万円未満:5.1%
- 1000~1500万円未満:8.6%
- 1500~2000万円未満:5.3%
- 2000~3000万円未満:8.2%
- 3000万円以上:17.3%
平均:1529万円
中央値:500万円