4. 在職老齢年金の計算方法

在職老齢年金で、具体的にどの程度の年金額が支給停止となるか見てみましょう。

  • 給与月額(賞与含む):27.5万円
  • 老齢厚生年金月額:10万円

在職老齢年金による支給停止にならないケース

在職老齢年金による支給停止にならないケース

出所:日本年金機構「働きながら年金を受給する方へ」

この場合、給与と老齢厚生年金の合計が1カ月あたり37.5万円となります。50万円以下となるため在職老齢年金による支給停止の対象にはならず、年金を全額受給できます。

  • 給与月額(賞与含む):50万円
  • 老齢厚生年金月額:14万円

在職老齢年金による減額になるケース

在職老齢年金による減額になるケース

出所:日本年金機構「働きながら年金を受給する方へ」

この場合、給与と老齢厚生年金の合計が1カ月あたり64万円です。「(64万円-50万円)÷2=7万円」が減額され、受給できる厚生年金額が月14万円から7万円となります。

なお、「在職老齢年金は高齢者の就労意欲を削ぐ」という否定的な意見があり、制度の改正や廃止が検討されています。具体的な内容は議論されている段階ですが、65歳以上になっても働いている方や、働く予定の方にとって朗報でしょう。

5. まとめにかえて

働く高齢者が増えており、65歳以上になっても年金と勤労収入で家計を運営している人は増えています。できるだけ長く働いて勤労収入を得れば、経済的な安心感を得られるでしょう。

ただし、在職老齢年金により年金の一部または全部が支給停止となるケースがあります。制度の見直しが検討されていますが、65歳以上の方は現行制度の仕組みを確認しておきましょう。

参考資料

柴田 充輝