石破茂首相は11月29日午後の衆院本会議で、「103万円の壁」引き上げを表明しました。

年収が103万円を超えると所得税が課される「103万円の壁」ですが、働きたくても世帯の課税を考慮し、働き控えをする要因とも言われています。

特に女性の働き方をめぐり議論されていますが、なぜ女性は働く上で年収の壁を意識することが多いのでしょうか。

20~70歳代の平均年収を参考に、女性の年収や就業状況の現実について見ていきます。

1. 【20~70歳代】平均年収はどれぐらいか

国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」から、20〜70歳代の平均年収を見ていきましょう。

上記調査より、男女別の各年代の平均年収をみてみると、男性は年代が上がるにつれて年収が上がっていくのですが、一方で女性は横ばいから緩やかに減少するとがわかります(【図表1】参照)。

男性の場合は、50歳代まで平均年収は上がり続け、55〜59歳でピークである「712万円」となります。社会に出てから安定的に増えるというのが特徴でしょう。

一方、女性の場合は、20歳代後半から50歳代まで平均年収が300万円台前半と横ばいな状態が続いており、最も高い平均年収でも25〜29歳で「353万円」となっています。

また、男性の場合は日本全体の平均年収に到達する人が、比較的若い世代でも多い傾向にありますが、女性の場合はハードルが高い現状がみてとれます。