1. 日本に「富裕層」は何世帯いるのか
まず、はじめに、2023年3月に野村総合研究所(NRI)が発表した資料をもとに、「富裕層とは何か」について定義をみていきましょう。
1.1 富裕層の判断基準となる「純金融資産」の計算式について
世帯の保有する金融資産(預貯金・株式・債券・投資信託・保険など)の合計額からローンなど負債を差し引くと「純金融資産保有額」を割り出すことができます。
純金融資産=金融資産(預貯金・株式・債券・投資信託・保険など合計金額)ー負債(ローンなどの合計金額)
また、この純金融資産保有額をベースに総世帯を5段階にランク付けしたものがマーケットの分類になります。
5つの階層の定義と、各層における世帯数・保有資産は以下のとおりです。
1.2 マーケットの分類(世帯の純金融資産保有額)
超富裕層(5億円以上)
- 9.0万世帯/105兆円
富裕層(1億円以上5億円未満)
- 139.5万世帯/259兆円
準富裕層(5000万円以上1億円未満)
- 325.4万世帯/258兆円
アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満)
- 726.3万世帯/332兆円
マス層(3000万円未満)
- 4213.2万世帯/678兆円
1.3 日本に純金融資産5000万円以上の世帯…「準富裕層」は何世帯いるのか
アッパーマス層から超富裕層までは合計で1200万2000世帯となります。
こうして純金融資産みると、その額が3000万円未満の「マス層」の世帯が大部分を占めていることがわかります。
一方、富裕層の仲間入り直前の純金融資産保有額が5000万円超の世帯である「準富裕層」は473万9000世帯です。この数字を見て、「意外と多いな」「そんなにいるのか」とお考えになった方もいるのではないかと思います。
ここからは、証券会社で富裕層担当であった元社員の私が見てきた「富裕層の共通点」を振り返っていきたいと思います。